たまちゃん(超)の日記

2018年09月10日 12時16分

BL人気と聞いてやってみたんじゃが…とは?



メークインは朝から
ウキウキ気分で歩いていた。
今日は憧れの先輩である
ニシユタカと一緒に、
農協まで軽トラで
ドライブデートするからだ。

ニシユタカは
その端正なフォルムと
甘いマスク、
煮崩れのしにくさによって
多くの女子から絶大な支持を受ける
人気のイケじゃがであり、
メークインもまた
ニシユタカに対して
恋の新芽が芽生えていた。

けれど、こんな想いが
通じるわけがないと
メークインは諦めていた。

なぜなら、
メークインとニシユタカは
男同士だったからだ。

いつもニシユタカの周りを女子達が、
芋の子を洗うように集まっているのを、
遠くから、ただ眺めているだけの恋だった。

そんなメークインの視線に、
ニシユタカは気付いていた。
実は彼もまた、
メークインに恋をしていたのだ。

彼からこないのなら、
自分から行くしかないと
そう思ったニシユタカは
メークインに告白した。

突然の出来事に戸惑い、
ガレットからかわれているのかと疑った
メークインだったが、
彼の想いが本物だと気付いたとき、
燃え上がった恋心は芋づる式に、
二人は同性という状況をものともせず、
イモくさい交際をスタートさせたのだった。

恋芋同士になって初デート
メークインが畑で愛する芋を待っていると、
キンピラ男たちが農道の向こうから
ゴロゴロと転がってきた。

見覚えがある、ゴロゴロ具合だ。
あいつはこの界隈じゃ有名なゴロつき、
男爵だ。

「ぉう、メークインじゃねえか?
へへへ、こんなところで何やってんだよ。
畑なんかでポテっとしてねえで、
俺達とフリフリして遊ばねえか♪」

「ごめん。
今日は、大事な用事があるんジャガ…」

「へへへ、どうせニシユタカのやつを
待っているんだろ。あいつは来ねえよ。
あいつの赤いトラクターのタイヤを、
ズタズタにしてやったからな!」

「言ってる意味が…
わからないんじゃが?!」

そのとき、
男爵が引き連れたイモ男たちが一斉に、
メークインの身体を拘束し、
メークインは身動きが取れなくなった。

「お、おい男爵!
これは一体…何のつもりジャガ?」

「何って?決まってんだろ。
お前を美味しく料理してやろうってのさ。
カレーか、シチューか、肉ジャガか?
へへへ、俺は昔からお前が好きだったんだ。
その瑞々しい色合いに程よい凸凹具合、
お前のことを考えるだけで
俺はもう、カリッカリの
フライドポテトになっちまうんだよっ!」

そう言うと男爵は男たちに命令し、
メークインをまるで
マッシュポテトにするかのように
ぽてっと、地面へと押し倒させた。

「くそ、やめるじゃが!
こんなことするとニシユタカが
ただじゃすまさないんジャガ!」

「へへへ、誰も来やしねえさ。
これはフカシじゃ無えぞ、
俺はフカシ芋じゃねぇんだ!」

男たちの魔の手が
メークインへと伸び、
その皮を強引に剥がしていく。

「やめてジャガ、脱がすなら
ピーラーを使って欲しいんジャガ…」

「そう嫌がるなよ。ひひひ…
すぐに気持ちよくヌイてやるぜ…
お前のアクをな!」

「悪はお前のほうジャガ!
ニシユタカ、助けて!」

「お前、さては…新じゃがだな?
くくく、興奮しすぎて
思わず先走りポタージュが
出ちまいそうだぜ♪」

抗うメークイン。
しかし、男たちはビクともしない。
そのうちに男爵の手によって、
メークインのジャガリコが
ニョッキとさらけ出される。

「お前…新ジャガのくせに…
こんなに立派なサツマイモじゃねえか!
ますますたまんねえぜ。
俺の石焼き芋は、もうアツアツだぜ!」

「ふん、どこが石焼き芋だ?
せいぜい干し芋じゃないか!
玉は、コロッケにも
なりゃしないジャガ!」

メークインは、強がりを言ってみせた。

「この野郎、俺がちょっと
スイートポテトな顔してたら
調子に乗りやがって!
これでもまだ
そんな強がりが言えるのかっ?」

男爵は懐から、
キラリと光るものを
取り出した。

「そ、それは…ハンドマッシャーじゃが?」

「マッシュマシュのギッタギタにしてやる」

男爵のポテトマッシャーが
メークインに、スマッシュする。
あぁ…こんなやつに調理されたくない。
それなのに、
メークインの身体は少しずつ
反応を示していった。

「ブサイクなイモ野郎めっ!
僕に触っていいのはニシユタカだけだ!」

「ひひひ、せいぜいほざいてろ。
上の口では、そんなこと言っていても
下のサッポロポテトは、もうこんなに
バーベキューじゃねえか?」

このままじゃ、僕は本当に
じゃがバターになってしまうんじゃが?

「おいおい、こいつ…
吹いちまうんじゃないか?
とんだ粉吹き芋だぜ!ぎゃっはっは!」

まるでニシユタカを
裏切っている気持ちだった。
こんなゴリライモに
好き勝手されるのは嫌だ。
頼むニシユタカ、早く助けに来て―!

「もう出そうなんだろ?
ガマンしてんじゃねえよ、
自分の身体に正直になって…
とろっとろのデンプン、
マッシューって、出しちまいな!」

爆音とともに畑の中から
一台のコンバインが飛び出してきて、
男爵たちを次々と煮っ転がしていった。

「カーネリングポテパーンチ!」

「ぐわぁ、覚えてイモー!
ベニ~アカ~リ~!(はひふへほ的な?)」

「俺のメークインに
手を出しやがって!
お前ら全員、無人販売所行きだぜ!」

コンバインから降りてきたのは
ニシユタカだった。

「ニ、ニシユタカぁ!」

「大丈夫か、メークイン!
ああ、こんなに悲惨な姿にされちまって…
あいつら、ニクいジャガー!」

「ううん、来てくれるって信じゃが。
嬉しんジャガ?あれ、おかしいな…
目からヴィシソワーズが…
止まらないジャガー!ポテッポテッと…」

「剥かれてるからさ…
剥かれてるからさ…」

「いーもん、いーもん…
やっと、ニシユタカと一緒じゃが…」

「俺の種芋に、なってくれ!」

「いっぱい、小ジャガ作りたい…」

メークインとニシユタカは抱き合い、
二人で愛の二毛作を誓うのだった。



そんな二人の姿を見つめる目があった。

ドイツ人、インカのひとみだった。



「ニシユタカは、渡さない…」




次回、めざめたインカの
出るかジャーマンスープレックス!

君のコガネに、おじゃがするぜっ!









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