2018年09月09日 17時01分
ほとばしれ、エロス!とは?
エロスは激怒した。
どうしてこんな台風の夜に
酒などを買いに行かねばならぬのか。
エロスには酒の味は分からぬ。
エロスは、まだ中学生である。
今日、エロスは親戚の家に
泊まりで遊びに来ていた。
その家の叔父は酒が無性に大好きで、
酒がないと手が震えるほどだった。
外では、台風が猛威を揮い、
轟々とけたたましい音を奏でていた。
叔父の大好きな酒も、
その全てがなくなっていた。
それでも、
酒を喰らうことを諦めぬ叔父は、
暴風の中を買いに行くことを決意する。
エロスと共に、嵐の中、
徒歩で酒屋まで向かう叔父は、
「叔父さんはな、
酒がないと何も出来ないんだよぉ」
と情けないセリフを吐く。
エロスには、その言葉の意味は
よく分からなかった。
ふいに前方から
見慣れぬ黄色い物体が飛んできた。
大木すらもなぎ倒す
風力を手にした台風は、
酒屋のビールケースすらも
吹き飛ばしたのだ。
KIRINと書かれた
プラスティックの黄色いビールケース。
中にはギッシリと
瓶ビールの空き瓶が入っている。
余程の重量であることは明白だが、
それでも嵐は軽々と
それを吹き飛ばしていた。
「危ない!」
そう思ったときは既に遅く、
悪魔の物体は軽々と
叔父に向かって襲いかかっていた。
アル中の叔父に
それを避ける余裕はなく、
鈍い音と共に
余程の重量であるビールケースは
頭部に激突した。
頭から血を流し倒れこむ叔父。
無情にも激しく雨が降り注ぐ。
叔父の手は激しく痙攣しており、
それが頭部に衝撃を受けたことが
原因なのかアル中が原因なのかは
分からなかった。
「お、叔父さん!」
暴風は、
エロスの叫びをせせら笑ふが如く、
ますます激しく躍り狂ふ。
エロスは覚悟した。
この非常事態を
叔父さんの家族に伝えねばなるまい。
信じたアル中のため、今はただ
走らねばなるまい。
路行く人を押しのけ、
エロスは黒い風のやうに走つた。
走れ、エロス!
親戚の家に帰りついたエロスは、
叔母、従兄弟に惨事の様子を伝える。
聞くとすうっと顔色を失った叔母は、
急いで119番に電話をし、
救急隊を呼び寄せた。
嵐の中、タンカに乗せられて
救急車に乗せられる叔父。
だからいったのだ。
こんな台風の夜に
酒を買いに行くことなどない。
危険だから止めた方が良いと言ったのに。
エロスはまた激怒した。
救急車に乗り、全員が、
病院にいってしまった。
見慣れぬ親戚の家に
エロスはただ一人佇んでいた。
幼い頃から、
台風が来ると無性に興奮するエロスは、
まだまだ興奮冷めやらず、
誰もいない親戚の家で
台風の轟音に耳を傾けていた。
とにかく興奮する。
台風の影響で洗濯はしたものの
干せなかったのだろう。
窓際には洗濯物が
だらしなく干してあつた。
叔父のものと思われる肌着に、
従兄弟の物と思われる靴下。
そして、叔母のものだろう、
かわいらしいパンティエが干してあった。
バカな!叔母のパンティエだぞ!
年の割には若く見え、
評判の美人といえども叔母だ。
それに年増ともいえる年齢だ。
若い娘のパンティエならともかく、
オバハンのパンティエで
欲情するなどあってはならない。
動揺する心を落ち着かせ、
なんとかリビングへと戻り、
テレビをつける。
そもそも見慣れぬ家で
家内を徘徊するのが良くない。
非常識な行為を行う興奮と台風の興奮、
それらが入り混じり
叔母のパンティエに
興奮してしまったのだ。
落ち着きさえ取り戻してしまえば
何てことはない。
ただの気の迷いだったのだ。
叔母のパンティエに欲情することなど
あってはならぬのだ。
いくら性欲の塊、中学生といえども
あってはならぬのだ。
エロスはそう自分に言い聞かせると、
テレビのチャンネルを変え始めた。
テレビからは台風情報が流れ、
今まさにこの場所を
大きな渦が直撃していることを告げていた。
エロスは、その画面を
食い入るように貪り見ていた。
バ…バカな!
台風の渦が女性器にみえる!
日本列島を覆っていた台風の渦が、
エロスには女性器にしか見えなかった。
中心の台風の目が
なんとも淫靡に微笑みかけ、
エロスの股間を刺激した。
あってはならぬ、
台風の渦が
マンチョスターに見えることなど、
あってはならぬ。
もはや台風の興奮、
叔母のパンティエ、
そしてマンチョスターのような台風の渦。
「中心付近の気圧は
980エレクトパスカル~ンですぅん♪」
というアナウンサーの声も、
淫らな喘ぎ声にしか聞こえない。
その全てが、エロスのピンク色の脳髄を
刺激していた。
『エロスは、他所様の家で
オ○ニーをしようというのか?
叔母のパンティエを右手にグイと握り、
台風情報を見ながら
オナ○ーをしようというのか?』
自問自答したが、もはやエロスは
自分の欲望の赴くまま、
おばはんパンティエを手に取り、
風音に耳を傾けながら、
マンチョスターの渦を眺めて
○ナニーをするしかない。
性に垣根などあってはならぬのだ。
自分の興奮に身を任せ、流るるままに
オナニ○をすればいいのだ。
私の命なぞは、問題ではない。
私は、性欲に報いなければならぬ。
ほとばしれ!エロス!
台風の轟音が轟く中、
一心不乱に自身を弄ぶエロス。
手には叔母のパンティエ、
画面には台風情報。
他人様の家の
一家団欒が繰り広げられるべき
リビングで行為に及んでいることが、
一層エロスを興奮させた。
エロスの小さなイチモツは、
あまりの興奮度から
長時間刺激に耐えることなどできず、
ヒヒーンと…
2、3度嘶いた後に放出して
朽ち果てた。
背徳感と、達成感で胸いっぱいの
エロスだったが、性欲の毒液体を放出して
幾分冷静になったからだろうか、
奇妙な罪悪感がエロスを苦しめた。
あれから三十と幾年、
四六歳になったエロスは、
未だに台風が到来すると思い出す。
台風の渦が女性器に見え、
叔母のパンティエを握って
他人の家でオナニ○をした思い出を。
恥ずかしい桃色の思い出を。
台風6号が九州をかすめ、
エロスの住む土地にも強風をもたらした。
轟々と風の音はなりやまず、
テレビの台風情報も
恥ずかしげもなく
マンチョスターのような渦を映し出す。
まさかな、まさか…四六歳にもなって
台風情報でオナニ○するわけがない。
ましてや叔母のパンティエを
思い出してするはずもない。
あの思い出は考えるだけで
恥ずかしいものだ。
できれば触れたくない過去なのだ。
考えるだけで恥ずかしいわっ!
エロスは、ひどく激怒した。
台風情報を見てズボンを下ろしながら…
全〓たまこ〓裸