2018年08月01日 08時56分
(怪)どもどもども…玉川淳二ですぅ!
人には
忘れられない遠い日の
思い出があるものです。
それが、どれだけ不思議な
事だったとしても…
私にとっては、
大切な想い出の破片
コレエダ ケイタ
の話をしよう…
あれは、私が
中学2年の頃でしたか…
クラスに必ず1人は
いるんじゃ
ないでしょうか?
目立たない奴
存在感の薄い奴
それが、
コレエダ ケイタ 君
でした。
彼には、友達が
いませんでした…
たった一人を除いては…
それが、僕だったのです。
当時、友達の証しとして
流行っていたのが
【互いの家に泊まりにいく】
という行為でした。
例に漏れず僕も
コレエダケイタ君の家に
泊まりにいくことに
なったのです。
学校が終わり
僕はコレエダケイタ君と
一緒に帰りました。
国道を2km位
進んだ頃でしたか…
コレエダケイタ君はスッと
わき道に入りました。
違う。
…それ、わき道じゃ
ないんです。
薄暗い森の中に続く
ケモノ道なんだ。
どんどん森の中に入っていく
コレエダケイタ君。
『コッチダヨ』
小さい白い手が、
手招きする。
僕はちょっぴり
怖くなって
(いったい何処に連れていかれるのだろう?)
とも思いましたが
…その反面
まるで秘密基地を
探検するようで
わくわくしていたのを
覚えています。
森のトンネルの中を
進んでいくと
急に目の前が開らけました。
そして僕は
眼前に広がる光景に
自分の目を疑いました。
そこに街は、
ありませんでした。
詳しく言うと
広大な土地に
舗装された道路だけ…
まるで、
開発途中の住宅街…
そんな中に
コレエダケイタ君の家は
あったのです。
異変は、初めから
感じていました。
その家に入った時に
(なんか薄暗いなぁ?)
と、感じました。
確かに、外は夕方
家の中は
電気が灯いていたのですが…
常に、目の前に
薄い幕がある感じ…
まるで
霧の中にいるような
印象を受けました。
そして普通、新築の家には
木の温もりを
感じるものですが、
そこはまるで
冷たい大理石の中に
放り込まれたかのような
空気が
漂っていました。
居間に通されました。
母親がいました。
3歳位の妹がいました。
赤ん坊の弟がいました。
テレビを観ました。
食事をしました。
その間終始
…皆、無言でした。
食事中、ふと
気が付いたのですが…
居間があって、その隣に
もうひとつ
部屋があるのですが、
襖が少しだけ開いている。
なんとはなしに
覗いてみたんです。
電気も点いていない
真っ暗な部屋の中、
布団が一組…敷かれている。
その上に…いる。
白髪で髪を乱した老爺が
正座している。
その老人の目は…
うつろに虚空を
凝視したまま
身動きひとつせず、
そこに鎮座していた。
僕は、怖くて、怖くて、
身体が…
がくがく震えていました。
居たたまれなくなり
そのまま二階に上がり、
コレエダケイタ君と
二人で話をしました。
何の話をしたかは
忘れましたが…
これだけは覚えています。
コレエダケイタ君は
何度も、
確かめるように、
僕に…
こう言ったのです…
『ズット友達デ…イテクレルヨネ?』
その後、
僕は2年の途中で
転校してしまい、
それっきり…
コレエダケイタ君と
会う事は
ありませんでした。
月日は流れ、
僕は上京して
仕事に追われる毎日を
過ごしていました。
そこに友人から
電話があったのです。
久しぶりの電話で
思い出話に花が咲き
僕は、
コレエダケイタ君の
名前を出したのですが…
友人の答えは
意外なものでした。
「誰それ?」
僕がどれだけ
説明しても、
『知らない』
と、言うんです。
念のため他の友人にも
確認してみたのですが
…同じ事でした。
卒業アルバムにすら、
その名前を見つける事は
出来ませんでした。
つい最近の事です。
自宅に友人が来ており、
その話をしてました。
それじゃ、
ネットで
コレエダケイタ君の
家を見つけてみよう
という事になり、
地図を検索してみました。
通っていた学校は、
すぐに見つかりました。
国道を指で辿っていき、
さすがに
ケモノ道までは
地図にはなかったのですが…
見覚えのある
森をつっきり、
目で追っていった
その先に
…僕は、
見てしまったのです。
広大な土地
…そして、そこに
【S墓地】の文字を。
真相は、分かりません。
もしかしたら
彼もまた、
転校したのかも知れない。
もしかしたら
僕にしか見えない
存在だったのかも知れない。
ただ僕の脳裏には、
はっきりと…
コレエダケイタ君の
言葉が
刻み込まれて
いるのです。
『ズット トモダチ デ イテクレルヨネ?』
親〓たまこ〓友