俺って何でいつもこうなるのだろう。

発端は珍しく俺から会社の同僚たちをカラオケに誘ったことだった。
その中には俺が気になっている後輩女もいたけど、連絡先を知らないので、同期に頼んで誘ってもらった（事務所が違うのでたまにしか会えない。同期は後輩女と同じ事務所）。
結果、俺と後輩女以外は仕事が忙しく、少し遅れるということになった。
つまり、最初の１時間ほどはは二人きりになれるという状況だ。
これは千載一遇の好機！
「今日みたいに俺からみんなを誘うときにいちいち同期を間に挟むの面倒なんだよね～。だから連絡先を教えて？」と自然に言えるシチュエーションが出来上がった。

だがしかし。直前になって、後輩女は急に「用事ができたから遅れる」と言い出したらしい。
結果、俺は一人で居酒屋に入り、皆が揃うまでちびちび酒を呑む羽目になった。
この時の俺の死にたさっぷりは尋常ではなかった。
だってそうだろう？俺と二人きりになるのが嫌だから、急遽予定を入れたに決まっているのだ。
１時間後、同期が現れ、さらに１時間後、男の後輩が現れた。
後輩女から連絡が来ないので、仕方なくカラオケ屋に移動。
結局、最後まで現れることはなかった。
（やっぱり行けない、という連絡すらなかったそうだ）

今日こそ、連絡先を聞ける。絶対に聞く。そう意気込み仕事も手につかなかったくらいの（非モテ的な）緊張感は何だったのか。
そして今回の集まりは俺が言い出しっぺなのに、幹事をやっているのは何故か俺の同期という状況に、何だか自分の立ち位置が透けて見えるようで腹が立って仕方がなかった。
だから夜中のテンションも相まって、同期にメールで愚痴ってしまったんだ。
それが失敗だった。
彼は後輩女に対して怒り、俺の連絡先を教え、謝罪するよう命じた。
そんなことまで頼んだつもりはなかった。

次の日、後輩女からメールが届いた。
「昨日は本当にすみませんでした。同じ過ちを繰り返さないよう、しばらく自粛します」
重い。何だこの文面は。
自粛だって？
それってつまり、「ちょっとドタキャンしたくらいでゴチャゴチャうるさい先輩たちとはもう関わりたくありません」ってことじゃないのか？
俺は確かにあいつの連絡先が知りたかった。メールがしたかった。
だけどこんな展開は望んじゃいない。

どうしてこうなる。
どうしていつもこんな感じで、女の子と仲良くなるどころか疎遠になってしまうんだ。

・・・まあそんな感じで、俺の片思い未満的なナニかは完全に破綻しましたとさ。

おしまい。