2014年09月07日 17時41分
昔話 最後。
8月28日
続き。
ヤンデレと俺の口論をききつけた人間が何人かこっちに来る。
その中には幹事とAの姿も。
Aは事情を知ってるから、同情というか憐れみというか、そんな感じの視線を投げてくる。
幹事が
「どうしたの?何かあったの?」
と割って入ってくる。俺は
「ごめん、気にしないでくれると助かる」
と。ヤンデレと同学部は黙っている。
しかし幹事は
「でも、明らかにほっとける空気でもないよね?」
と引き下がるつもりはないらしい。
男どもは当然のようにヤンデレを心配する。同学部は友達に連れられてその場を離れる。
残ったのは俺とヤンデレと幹事とAと男ども。最初に口を開いたのは俺だった。
「すまん。楽しいはずの時間に水を差した」
すると幹事が
「謝るのはまだ早いんじゃない?事情をなんにも聞いてないし」
こんな事情を説明なんてできるか、と思って沈黙してると、Aが
「他人の事情に首を突っ込むのはいただけないんじゃない?」
と援護してくれる。周りの男どもは見てるだけ。何も口をはさんでこない。そのほうがありがたかったからいいんだが。俺は、
「すまん、あんまり話せるような事情じゃないんだ」
となんとか凌ごうとする。ここで、奴が口を開く
「私とぎうらくんは付き合ってるの。ただ、それをぎうらくんが認めようとしないだけだよ」
と。話をややこしくする一言をヤンデレが言い放った。
男どもはみんながみんな「え?どういうこと?」って顔を、幹事は何かおかしなものを見るような目でヤンデレを見て、Aは「あーあ」って顔をしてる。幹事が
「ぎうらが認めてないってことは、それは付き合ってるとは違うんじゃない?」
と、至極まっとうな反論を口にする。ヤンデレは
「そんなことない!一緒に帰ったりもしたし、二人だけで会ったこともあるんだから!」
それを聞いて、幹事は
「それはほんとか?ぎうら」
と俺に確認をとる。いつの間にか幹事が仲裁役に回っている。俺は
「そいつ言ってることは間違ってない。でも、俺はどっちも好意をもってやったことじゃない。帰るのは強引にむこうから、二人であったのは縁を切るためだ」
と言った。ヤンデレは今にも泣き出しそうな顔をしてる。さっきまで泣いてたんだが。幹事は
「じゃあ、ぎうらはこの子に好意が全くないんだな?」
と言ったから、
「当たり前だ。ただの迷惑でしかない」
と少しきつめに言った。ストーカーまがいのことがあったことは言わないように注意しながら、でも本当に好意がないことを表す口調で。すると幹事は
「詳細を知らない俺がかってに決めつけるのは悪いけど、ぎうらの話を聞く限り、非があるのはヤンデレさんってことになるな」
と、結論を出す。ヤンデレはそれを聞いて
「あなたには全く関係ない話じゃないですか。人の話に首を突っ込むのはやめてください」
と全力で幹事を退ける。すると、ずっと黙っていたAが、
「いい加減にしろよ。人に迷惑をかけといて、その人の事が好き?そんなんじゃ永久にお前はぎうらには好かれねえよ。一時とはいえ、お前を好きになった自分が馬鹿みたいだ」
と、迷いなく言った。ヤンデレは少なからず堪えたのか黙っている。俺は
「Aが言ったとおり、このままじゃ俺はお前を好きになるどころか、どんどん嫌いになる。まぁ、いまさらお前が何かをしたところで俺の気持ちは変わるわけないけどな」
と、自分でも驚くくらいヤンデレを突き放した。ヤンデレは無言でうつむいている。俺は
「そういうことだ。今後はもう話しかけられても他人みたいに接することにするからそのつもりで」
と言い放ってBBQを再開しようとみんなに呼び掛ける。幹事も、ヤンデレの事を気にかけながらもBBQ再開の案には乗り気だった。同学部は友達たちに励まされてなんとかなっているようだった。問題のヤンデレは、無言で帰る準備をしていた。切なそうな顔をしながら。
一瞬でも慰めようかなどと思った俺はまだまだ甘いな。
そんなこんなでBBQは終了した。
後日談なんだが、同学部は、女友達たちに慰められてる過程で、
「私はぎうらさんのことを何とも思ってない」
といった内容の事を話したらしい。それが本当のことかどうかなんて知ろうとも思わないが。
んで、つくづく自分の甘さにげんなりするんだが、今、俺はすごくヤンデレが心配だ。自殺とかしてないよな・・・・・とか、そんなことばっかり気にしてる。
無論、恋愛感情めいたものは微塵も抱いてないが。
学校が始まって、どこかでヤンデレが生きてる姿を目撃できればそれで俺の悩みは解決するだろう。
これで、長く続いたあいつらとの因縁は終わり・・・・・にしたい。
新学期が始まって、また変わりのない日常が送れることを祈って、さようならだ。
これで、自分の大学時代の変なお話は終わりになります。
読み返してみると、文のつたなさや自分の子どもっぽさに笑えてきますねw
今はただの思い出です。
では、また。