2014年07月20日 14時13分
おやすみ、デイドリーマー
すこしだけ生きている。
実感はいつもとおくのほうで
手をふって合図をおくるけど
たぶんぼくはそれを
見のがしている。
タイムラインに流れる文字羅列は
やわらかい砂つぶみたいに
こぼれおちてやがてきえる。
読み込みエラー、リトライ、リトライ、リトライ。
深夜のニュース番組は
おなじトピックスを
ぐるぐる回していて
気分が悪くなって。
AからB、BからC
ときどきCからA
そして現在地はたぶん、ここ
確証はないけれど。
かみパックの野球ジュースを
ちびちび飲みながら
ソファーに寝ころぶ。
ほどよいかたさのクッション
お気に入りの小説
未開封のたばこ
それらのささいな安心を
ひとつひとつ点検する。
だいじょうぶ、
ぼくらはまもられてる。
だれかのやさしさや
かたいコンクリートの壁や
むずかしい法律によって。
でも結局それは
独立した存在に思えるし
まもられてるっていったい
なんだろうなと思ったりする。
テレビを消したあと
ふとんにもぐりこんで
こどものころにつかっていた
スケジュール手帳のことを
かんがえていた。
星やくるまやバースデーケーキのシールのこと。
シールを貼ることで
これからおこるできごとを
予習していった。
ぼくらは近い未来のことを
うまく想像できないから。
あしたはきっといい日になるよ。
それは母親のことばで。
君のことばで。
僕のことばで。
あるいは、
うしなわれた言語で。
そっとささやくように。
しっとりと雨にぬれた落ち葉のぬくもり。
もぐらのねぐらみたいにしずかな夜に反響しつづけている。
ちいさなちいさな、ざわめき。
だいじょうぶ、
ぼくらはまもられてるから、