2014年07月10日 22時43分
ぼくのきみのぼくらのだれかのリリック
忘れたくないものは
もう思い出せない
決別はたぶん
もうとっくに終わってる
その触れ方を模索してるだけで
ぼくらは引き伸ばされた余韻を
一枚いちまい重ねるように
いくつもの延長戦を
受けもっている
口にふくんだ水みたいな
生ぬるいなにかが
街のあちこちで
気持ちわるく
うごめいているから
ぼくらはときどき
スイッチを切る必要があった
そしてそれを呼吸のように
あたりまえのものとして
受け入れた
ふたりには確証もチケットもなくて
あるのはいくつかの鼻歌と
ジャケットの裏地の冷たい触感だけで
君と踊りたいな
その静かな瞳で
つきさすように
ぼくを映してほしい
見覚えのない看板、
にじむ光の輪郭、
揺れる髪やふたりの息づかい、
ありとあらゆる鋭角、
あるいは曲線とその残像、
空に浮かぶ黄色いネオン、
もっと近くにきてほしい
全てに醒めてしまう前に
このリフレクションの出口を探そう
悲しみはどうしようもなく
ありふれていて
誰も口にしようとさえしない
それを正解だと
思い込もうとしてるから
ふたりが寄り添う
ペンキの匂いがする
歩道橋のうえ
信号機はオールグリーン
架空の紙飛行機をとばす
しばらくフラフラ泳いで
チカチカする夕闇
かすむ光の波に消えた
いまどこにいるの?って
って君が聞くから
ぼくらはここにいるよって
ちいさな声で
銀色の吐息が
こごえる街中で
失われた熱量のシャワーを浴びながら