ねことらの日記

2014年06月29日 21時41分

透明なフィルムにきざまれた乱文

さびしさはいつも等速でながれてた。やわらかいスピード。ぼくはつまさきをひたしながら、きみを待ってる。足裏でかんじる川底の小石の感触、ひんやりとしたとうめいな水面。さびしさはチクチクするのにキラキラしていて、置き場にこまるね。待ちくたびれたっていい。きみがすき。



市バスは夕暮れの臨海工業地帯をぬうようにはしった。窓ごしのオレンジマテリアル。安物のスポーツバッグを抱きしめながらイヤフォンで音楽を聴いていた。泣いていたかもしれない。すべては残像のなかに消えて、平板な道路が湾曲し、湾曲し、とおざかる。電飾をもたない機能的なアーチの森、あくしゅみなゴミ焼却場の煙突、誰もいない船着場には名前のない惜別がただよっていて。なにを切り取ってもよかった。現像することのない写真だから。



あの先輩にLINE教えないほうがいーよ。文化祭でも声かけまくってたし。あーいう人ってもう病気だよね。え、性病って意味じゃないし。でも言えてる。ははははは。(発言者A)
あ、やっぱり下の子も私立受験するんだ。たしかお兄ちゃんも、ほら、あの有名な、そうそう。一人だけにお金かけるなんて不公平だもんねぇ(発言者B)
フェイストゥフェイスでひとりごと。ここはイオンのフードコート。



しずけさと非常階段の足音。カギを取り忘れたのに気づいて駐輪場にもどる。そのあいだ、昨晩の失態をひとり噛みしめてた。たぶん本当のことを言うべきじゃなかったし。でも、気づけば「また会える?」ってメールで。きみのきすは揮発性でたよりないけど、ぎこちなさが好き。私がわるいんだけど謝ってやらない。やさしく傷つけあって、その傷あとに触れあうゲーム。もっと深くまで。







これはどこかとおい国のものがたりだ。
そして、そこできみとまた出会いたい。そのときはふたりだけの新しい言語で語り合えたらいいな。透明なフィルムのちいさな傷をながめながら。

ねことら

キスって言葉もダメなのか。これはこれは。

2014年06月29日 21時42分

ねことら

ありがとうございます。ただの暇人の戯れでごわす<BHさん

2014年06月29日 21時46分