2014年06月12日 23時30分
高潔な人
今日、読んだ史料からざっくりまとめたお話。暇な人にだけオススメ。とても良いお話だよ。
リチャード・ジャクソンという1人の農夫はイギリス軍がベニントンに向かっているのを知って、朝早く起きて馬に乗って馳せ参じた。どこに。イギリス軍にである。ジャクソンは王党派でイギリス軍を支援しようと自ら軍営に身を投じたのである。もちろんイギリス軍の動きを独立を支持する人々が黙って見過ごす筈はない。直ちに民兵がイギリス軍の目論見を阻止しようと出動した。その結果、ベニントンの戦いが起きた。戦いの詳しい状況については述べないが、ただ1つ言っておかなければならないことは、敗北したのはイギリス軍であり、その結果、ジャクソンは捕虜になったということである。
ジャクソンは郡庁があるグレート・バリントンに送られ、そこで収監された。しかし、収監と言ってもそれは名ばかりであった。牢屋は古くて改修も施されず、囚人が脱獄しようとすればそれを止めることはできなかった。しかし、ジャクソンは自らの良心に従って、脱獄する気配すら見せなかった。まるで自分の家にいるかのように起居して変わるところがなかった。
おとなしく数日間、牢獄の中にいたジャクソンは、無為に時間を過ごすのは勿体無いので日中は外で腹かせて欲しいと役人に申し出た。そして、夜には必ず牢獄に戻ると約束した。ジャクソンの人となりに感じ入っていた役人は快く申し出を受け入れた。それからジャクソンは毎日、変わることなく昼は外で働き夜は牢獄に帰るという生活を続けた。画地為牢とはまさにこのことである。そうして夏が過ぎ、秋が来て、それから冬になり、そして、翌年の春を迎えた。
ジャクソンは反逆罪の嫌疑で裁判を受けることになった。そこで役人はジャクソンを裁判が行われるスプリングフィールドまで護送する準備を始めた。それを知ったジャクソンは、そのような手間を掛ける必要はないと役人に言った。自分が1人でスプリングフィールドに出頭すれば費用も時間も節約できる。役人は少し考えた後でジャクソンの言い分も尤もだと認めた。役人に見送られて、ジャクソンは旅に出た。
その途中、1人の紳士がジャクソンを見掛けて「あなたはどこへ行くのですか」と声を掛けた。ジャクソンは平然とまるで他人事のように「スプリングフィールドへ行きます。私の生命がかかった裁判を受けるために」と答えた。反逆罪で有罪になれば絞首刑になる可能性は高かった。それでもジャクソンは逃げようとせずに約束の期日通りにスプリングフィールドに到着した。
ジャクソンの高潔な行いを知った人々からマサチューセッツ知事参事会に恩赦を求める請願が寄せられた。マサチューセッツ知事参事会は裁判でジャクソンに恩赦を与えるか、それとも反逆罪で処分するかを判断しなければならなくなった。
裁判で最初に陳述を始めた人々は、口々にジャクソンの罪状は明白であり、反逆罪で絞首刑にすべきだと主張した。もし恩赦が与えられれば、悪しき前例となって他に示しがつかなくなる恐れがある。次に陳述のために法廷に立ったのは、ジャクソンがスプリングフィールドに向かう途中で出会った紳士であった。紳士はジャクソンと交わした会話について説明し、その高潔な精神を讃えた。紳士の言葉はマサチューセッツ知事参事会の心を打った。その中の1人が「このような人物を絞首台に送るべきではない」と言うと、他の者もそれに同意した。そして、すぐに恩赦が出され、晴れて自由の身になったジャクソンは家に帰ることができた。
フィリウス@令音たんは美の化身!
どっちかと言うと王党派に対する不公平な裁判が吹き荒れたから、あまりそれはないかも。それよりも内なる光、つまり、自分の良心に従っているようなそういう信仰心がポイントかもね。
2014年06月13日 01時04分