2012年09月26日 00時52分
あったかもにゃッ(゚、 。`フ
冬の深夜の帰り道。
近所にあるダーツバー。
何となく暖を取りたくなって、開けてみた木製のドア。
中は薄暗く、サングラスを外して視界を明るくする。
奥にはダーツの台が数台見えた。
常連と話しているマスターらしき男性。
こらに気付いて、少し眉を顰める。
気にせずカウンタ席に腰を下ろし、
「ゴッドファーザ。」
それだけを口にする。
不審な眼差しのまま、それでも作り始める。
ポケットから、マルボロを取り出してZIPPOで火を付け、
それぞれをカウンタに投げ出す。
それを見て、灰皿を差し出してくるマスター。
「ありがと。」
目は合わせず、紫煙だけを眺めて口にする。
そして、タバコが半分くらいになった頃、
差し出されるグラス。
一口、喉に流し込み、
ウィスキーが喉を焼く感覚と、
アマレットの甘みが舌に残る。
何となく吹かすタバコ。
横目でダーツを投げている人達を眺めていると、
手の空いたマスターが声を掛けてくる。
「興味ある?」
「投げてみたくも無い。」
「あげる。」
渡されたのは、黒い細長いケース。
開けて中身を見ると、三本のダーツと無地のウィング。
手にとってみて、チップのところ意外は、金属製で少し驚く。
「いくら?」
「お試し品だから要らない。」
「…そう。」
組み立ててみて、初めてのマイダーツに少し顔がほころぶのを隠し切れない。
それを見たマスターが、カウンターの向かいから出てきて、
ダーツ台のところまで私を連れて行き、
「ちょっと、この子に投げさせてあげて。」
客のほとんどが、ほろ酔いなのか、快く台を譲ってくれる。
譲られた台で、適当に投げてみようとして、
「そうじゃないよ。」
と、一人の男性が声を掛けてくる。
そして、立ち方、構え方、ダーツの持ち方、投げ方を習い、
人差し指でダーツの重心を計った後に、
投げてはみるが、腕の力が足りなくて届かない。
仕方が無いので、全力投球気味にダーツを投げる。
指を離すときは心持早めに、
右側に飛ばす癖があるから軸足と体を右にずらし…。
投げたダーツは丁度中心に突き刺さり、
「ナイスブル!!」
と、周りの客から声が飛ぶ。
それから、ダーツを引き抜こうとして、
上手く抜けずにいると、
「回すように抜くんだよ。」
と、教えてもらい…それでも全力投球で投げたダーツは深々と刺さり、
やっと、抜いたところで、教えてくれた人達にお礼を言ってカウンタ席へ戻る。
「面白かった?」
「存外に。」
「可愛くない返事。」
苦笑するマスターに苦笑いを返して、
ダーツを分解してケースにしまい、
氷の溶けきったゴッドファーザを一気に呑む。
味が薄くなり、美味しくない感覚だけが舌に残る。
空になったグラスを差し出して、
「同じのを、アマレットを多めに。」
「甘いのが好き?」
「…どちらかと言えば。」
「それじゃ、レミィとアマレットのにするかな。」
そう言って、作り出すマスター。
「レミィはウィスキーじゃなくて、ブランデーじゃないの?」
「ウィスキーじゃ、どうしても苦味が残るから・・・ったく、高い酒使わせやがって・・・。」
「悪いね。」
そう言って、タバコに火を付けて、ボンヤリとする。
最初の一杯目に、ダーツを投げる練習をしたせいで、
何となく、思考がボンヤリとする。
「お待ち。」
差し出された変則的なゴッドファーザを口にして、
「美味しい。」
自然と口から零れてくる言葉。
マスターは何も言わずに、満足げな笑顔。
それを、少しずつ口にしながら、マスターと下らない話をする。
「そういえば、出すのを忘れてた。」
そう言って、小皿にナッツを山盛りにして差し出してくる。
「悪いけれど、酒を呑むときは食べない主義。」
「ホント、可愛げねーなー。」
ナッツの小皿を引っ込め、それを食べだすマスター。
ナッツを口にしながら色々と質問をしてくる。
「年齢は?」
「…秘密。」
「仕事帰り?」
「そうじゃなきゃ、こんな時間に店には入らない。」
「家は?」
「すぐそこ。」
「じゃぁ、酔っても大丈夫か。最初は中学生が入ってきたのかと思ったけど、一言目が『ゴッドファーザー』で、未成年じゃ無いと確信したわ。」
知らないフリで、酒を口に運び、最後の一滴を飲み干し、タバコとライターとダーツケースをポケットにしまい、
「チェック。」
「二杯で…1000円。」
「安いね。」
「今日だけサービスしといてやるよ。」
1000円札を渡して、
「また来いよー。」
と、言うマスターの声を背に受け、
後ろ手で、手を振って無言の挨拶。
そして、木製のドアを開けて、外気に晒される体。
酔った体に、冬の冷たさが心地よい。
そうして、少し離れた一見雑居ビルに見えるアパートを目指して歩き出す。
(「また来いよー。」ねぇ…。)
「…また、行ってみるかな。」
ポケットの中のダーツケースに触れながら、
暗い帰り道、一人呟く。
くらにゃるこ
ミカドさん どうかしたかや(゚、 。`フ
2012年09月26日 00時58分
くらにゃるこ
りとる姉さん 秘密でありんす(゚、 。`フ(ハート
2012年09月26日 00時59分
くらにゃるこ
ぽっさむさん …ありがとうにゃの(゚、 。`フ
2012年09月26日 00時59分
くらにゃるこ
休日姉さん 想像をたくさん膨らまして、勢いで書いてみたでありんす(゚、 。`フ
2012年09月26日 01時07分