水底からぼんやりと月を見上げる。
いつもこうやって眺めてる。
空を。街を。誰かを。
なにものにも汚されず。
溶け込むことの出来ない。
沈殿物だけが知っている。風景。

言葉は、
水草を揺らして。
あぶくを散らして。
鮮やかな波紋になる。

むかしテレビで見た、
宇宙人に宛てた、
デタラメな信号みたいな、
ささやかで、
祈りのようなメッセージ。