朝はパン パンパパン

体操を終えて自由時間となり、越田くんとグラウンドの隅っこで話していた折原くんが不思議そうに首をかしげた。
「急にどうしたの高崎」
「越田は引っ込んでろ」
目を丸くする越田くんに、高崎は蚊でも追い払うように乱暴に手を振る。
越田くんは島生まれ島育ちなのに、珍しく芋でもゴボウでもない。もやしっ子を地で行く、細いフレームの眼鏡の万年委員長だ。
身体能力が全てという猿山みたいな価値観の中にあって、いじめとかはないけど越田くんは軽視されがちだった。中学生になり模試の結果などで見直されつつあるが、長年で染み付いた評価はそうそう拭えない。
それが越田くんに対する失礼な態度の原因だ。