朝はパン パンパパン

バカバカしいことに中学生になっても彼らの序列は身体能力で決まっていた。足の速さ、泳ぎの上手さ、ボールを巧みにさばけるか。そんな能力があったところで志望校に受かるわけでもないのに。
「おう折原、いっちょ勝負しようぜ」
受験生ということであまりハードなことはしなくなった体育の時間。島生まれ島育ちの芋男の代表格、高崎浩治が折原くんに突っかかった。
高崎は陸上部なのにやや短足。とうぜん色黒。受験せずにこのまま島に残って漁師になるんだと常々言ってる。その開き直りのせいで成績は常にダントツのビリ。受験しないにしても最低限の知識と教養は身につけておけと言う先生の言葉に耳を貸さない。