朝はパン パンパパン

「よし!早く行こうぜ!」
でもそんな思いも、手を握って引っ張られると、どうでもよくなってしまいます。
カナタくんの手はわたしよりちょっと大きくて、いつもあたたかいです。この手でどこまでもわたしを連れていってくれたらいいのにと、思ってしまいます。叶わぬ夢だと、わかっていても。
「どうした、ミサキ?」
カナタくんが手を離して振り向きました。どうしてこういうところは敏感なのでしょう。
「ううん、なんでもないよ。早く行こ、サクラちゃんたちに見つかっちゃう前に」
今度はわたしがカナタくんの手を取って走り出しました。そうしないと見られたくない顔を、見られてしまいそうだったから。