朝はパン パンパパン

ふふんと得意げに鼻を鳴らすカナタを、腕を組んでにらみつけた。でもまったく動じていない。
「なに怖い顔してんだよ。描かないのか」
そう言うカナタの首から下げられた画板にも、真っ白な画用紙が広がっている。
「あんたこそ、稀代のヘボ画家の腕前を見せつけなくていいの」
「ヘボ画家じゃねえ、天才画家!もしくは画伯だ!」
「はいはい。そんなことよりソウマは?」
「絵なんて描きたくないし、暑い日中に外に出るのも嫌だってさ。夏が終わってみろ、今度は寒いから嫌だって言うぜ」
「あの半引きこもりめ」
山頂の日差しは確かに強いけど、木陰に入って風でも吹けば暑さなんて吹き飛ぶ気持ちよさなのに。