朝はパン パンパパン

テストが終わって、夏休みに向けて浮き足立つ生徒ばかりなのに、一志の様子がどうもおかしい。表面上はいつものように泰然自若としているが、ぼんやりしていることが増えた。
和徳と話をしていても、と言ってもだいたい和徳が一方的にしゃべっているだけだが、相づちや受け答えが微妙にずれている。
「心ここにあらず、って感じなんだよな」
テスト終わりの解放感と暑さのせいで、どこか弛緩した雰囲気の漂う昼休みの教室。和徳は英助と拓真に向かってぼやいていた。
一志は図書室にでも行ったのか、教室にいない。昼休みはだいたい和徳たちと一緒にいるようになったのに、珍しい。