朝はパン パンパパン

ふとホームへ降りる階段の方を見ると、不機嫌そうな顔をした男が歩いてきた。
サラリーマンらしきスーツ姿の男は不機嫌そうな早足で、傘の真ん中くらいを持っている。ただでさえひとの多い雨の朝のホームで、傘をぶらぶらさせて危ないったらありゃしない。
けれどそんなことには頓着せず、男は我が道をずんずん進み、中学生3人組の間を横切ろうとした。
そのとき、ぶらぶらする傘を避けようとしたのか、濡れた床に足を取られたのか、中学生のひとりがバランスを崩し、後ろにいたパンのひとにぶつかった。
パンのひともよろけてバランスを崩しそうになったが、すんでのところで僕の腕が伸びて支える。