朝はパン パンパパン

「自主性を育み、個性を尊重し、そんなこと言ってるけど、進学しない生徒の自主性や個性はどーなんの?もっともらしい理屈で揉み消すの?」
藤崎さんの言ったことは私も考えていた。進学以外の道に進んだあの子を見てから、胸にくすぶり続けていた。
進学校に来た時点で、進学以外の道を選ぶべきではないのだろう。でも、それでも、それ以外の道に進みたいと思ったとき、一緒に考えてほしいと思うことは、わがままなのだろうか。
須藤は深く考え込むような顔をして、藤崎さんを見つめていた。やがて須藤が口を開こうとすると、
「須藤先生。ちょっと」
廊下から有無を言わさぬ冷たい声が聞こえた。