朝はパン パンパパン

リョウは部屋にこもり、悲しみに暮れていた。サジとユズはなんとか日々の糧を得て、ドア越しにリョウに語りかけた。短く、でも、真心をこめて。いつの日かまた、リョウと一緒に菓子作りができる日が来ることを信じて。
だがそんな祈るような日々も崩れ去ってしまう。
サジは持病を抱えていて、それが悪化した。身体の疲れと心の疲れ、両方が溜まっていたのだろう。
一命は取り留めたが、もう、長くは生きられない。もう、菓子作りもできない。それほど弱っていた。
自分に残された時間を知ったサジは店を手放し、それによって得たお金と、リョウをユズに託した。そして屋台の許可証は、ある条件を付けて僕に託した。