朝はパン パンパパン

家に着くとお父さんの靴は玄関にあった。ふらっと散歩に行くのが趣味なのに、今日は気が乗らなかったようだ。
道すがらどう聞き出そうかさんざん考えたけどあまりいい方法は思いつかなく、出たとこ勝負しかないと開き直っていた。いたけどちょっとだけ、間を置きたかった気もする。
「あれ、おかえり希美。早かったね」
ソファで本を読んでいたお父さんが振り向いて怪訝そうな顔をした。わたしはただいまも言わずにお父さんが読んでいた本を取り上げた。
「おいおい、どうしたんだ。そんな怖い顔して」
「櫻井さんの家で写真を見たの。幼稚園の前で、私と櫻井さんが写ってる写真を」
お父さんの目が見開かれた。