朝はパン パンパパン

訝しげな声にからだが固くなる。大丈夫だよね、櫻井さん、ちゃんとお母さんに話してくれているよね。
「あ、あの、わたし、櫻井さ…花梨さんの友だちで倉前といいます」
「それで?」
「えっ!?」
普通はこれで、よく来たわね、はいどうぞって玄関を開けてくれるものじゃないの!?まさかの対応にわたしは凍りついてしまった。
「…くくっ」
「ちょっとかりんちゃん、倉前さん困ってるよ」
インターホンから押し殺した笑い声といさめるような声が聞こえて、からかわれていたことに気がついて力が抜けた。玄関が開き、まだ笑いをこらえている櫻井さんと、身ぶりであやまる静谷さんが迎えてくれた。