朝はパン パンパパン

「これは…」
わたしが作った蒸しパンをお父さんがしげしげと見つめている。ため息みたいな吐息にはどんな意味があるのだろう。
「そんな見てばっかいないで食べてよ」
「ああ、ごめんごめん。あまりにも、お母さんが作ってくれたのにそっくりでね。それじゃ、いただきます」
照れたように笑いながら手に取り、またじっと見てから一口かじった。普段は呆れるくらい早食いなお父さんが、ゆっくりと噛み締めて、ああと息をついた。
「味も、そっくりだ…」
目頭を押さえるお父さんから目をそらすと、お母さんの笑顔と目があった。泣いていても今日だけは許してね。これはたぶん、かなしい涙じゃないから。