朝はパン パンパパン

「まさか僕らの親どうしが再婚する、なんて話じゃないよね」
「あはは、昼ドラとかにありそうな展開だけどそれはないよ。もうわたしは再婚相手の人に会ってるし」
咲希さんは軽く笑って僕の冗談を流した。その顔はさっぱりしていて、僕みたいに悶々とした思いを抱えているようには見えなかった。それが大人の余裕のように思えてちょっとだけ憎らしい。
「咲希さんはどう思ったの?」
「どうって?」
「再婚の話を聞いたり、実際に再婚相手のひとと会ったりして」
そうだねえと呟いて咲希さんはコーヒーカップのふちを指先でなぞった。その仕草がなんだかなまめかしくて、どきどきしてしまう。