朝はパン パンパパン

「さて、俺はそろそろ明日のパンの仕込みが…」
冷や汗を垂らして逃げようとする親方のふんどしを、人力車から飛び降りた少女ががしっと掴んだ。
「ロドリゲス!ゴンザレス!私を屋敷に入れてくれたら親方を好きにしてくれていいわよ!主におしりを!」
「てめえなんてこと言いやがる!?」
少女の提案にロドリゲスとゴンザレスはごくりと唾を飲み込んだ。そして目を合わせて頷きあうと親方を両脇から挟み込んで担ぎ上げた。実に堂に入った人拐いスタイルである。
「お嬢ちゃん、あんた大物になるわよ」
「ありがとう、この恩は忘れないわ」
力強いウインクをするふたりに少女はぐっと親指を立てた。