朝はパン パンパパン

ノートは閉じられておらず盗み見しようとすればいくらでもできたが、昨晩のことが書かれていたらと思うとそんな気にはなれなかった。書かれた内容を読まないように注意しながらそっとノートを閉じた。
このどこにでもあるノートの中には、いったいどれだけ私の知らないあなたがいるのだろう。あなたは私の前でも、きっとまだ多くのことを押し殺している。
いくら夫婦と言えどもすべてをさらけ出す必要はないし、あなたの知らない私だってまだたくさんいる。だけどそれはきっと、私の知らないあなたほど多くはない。
このノートがある限りその差は埋まらないのではと思うと、ノートを破り捨ててしまいたくなった。