朝はパン パンパパン

いたたまれない気持ちになり青年は空を見上げた。秋の空は移ろいやすくいつの間にか茜色に染まりつつある。
眩しすぎる夕焼けから目をそらし、さびれた公園に目をやると鉄棒の影が長々と伸びていた。その影は青年にありし日の記憶をよみがえらせた。
あゆむと同じくらいの歳の頃、青年は逆上がりができずに悩んでいた。クラスメイトたちはどんどん成功していくのに、自分はこのまま取り残されて、落ちこぼれていくのではないかと怯えていた。
できないことがひとつあるくらいで人の価値なんて決まりやしないが、子どもによくある一途で頑固な思い込みの前にそんな考えは浮かんでこなかった。

みそ(うすしお)

あの小さい世界で取り残されるのは一大事でしたね。

2018年10月21日 09時48分