朝はパン パンパパン

財布を開いてなかなかお金を出そうとしない私を、お姉さんが不思議そうに見ている。
「あの、どうかしたの?」
「あっ、いや、ごめんなさい!やっぱりパンいらないです!」
頭を下げてお店を出ようとすると、ぐうぅと盛大な音がした。私のお腹が鳴った音だ。お金は足りないわお腹は鳴るわ、もう踏んだり蹴ったりだ。恥ずかしさのあまり、顔から火が吹き出そうだった。
「あらあら、あなたのお腹はパンを欲しがっているみたい。お金ならいいから、ここで食べていかない?」
「でも…」
「パンのお代がわりに、店じまいを手伝ってよ」
にっこり微笑むお姉さんに、私は小さく頷くしかなかった。