友の死を悼むため若者は小さくなった彼を庭に埋めた。
「お前のことは忘れないよ」
友との日々を思いだし目からあたたかな雫がこぼれ落ちた。すると地面から木が生えてきて、おおきなパンを実らせた。
「パン!」
若者のよびかけにパンはこたえてくれなかった。パンはもうその意思を失い、いのちを分けあたえ、ただ人々の空腹を満たすことに特化したのだった。
迷いなく人々がパンを食べられるように、パンは己を消したのだ。もう誰も飢えることがないように。
若者は友の最後の願いを叶えるために木を増やした。村人たちが美味しそうにパンを食べるのを見やると若者は、友の眠る木の下でしずかに息を引き取った。

朝はパン パンパパン