インタビュー

所謂、旧軍の陸軍悪玉論について、どのようにお考えでしょうか?

インタビューありがとうございます。
「陸軍悪玉論」ですか。まず自分は一介の兵器マニアであり戦史には疎く、どちらかというと馴染みのあった海軍寄りな意見になりがちなのをご了承ください。
帝国主義の弱肉強食時代、日本は時流に乗って1915年に「対支21ヶ条要求」を袁世凱に突きつけます。そして欧米列強との対立が深まる中1931年、南満州鉄道が爆破された事を発端に(満州事変)、関東軍は中華民国政府と交戦状態に入ります。
その際、いわゆる領土的野心から「陸軍の暴走」が始まったと見るのか、はたまた右派が主張するような「ソヴィエトの陰謀」があったのかは自分には判断できかねます。
が、事の発端はともあれ、戦線を拡大し続けたのは陸軍であり、諸外国との「落としどころ」を見つけられなかった外交の失敗もあると自分は考えます。
結果、アメリカとの交渉も決裂し、対米開戦へと踏み切らねばならなくなったのは周知の事実かと思います。
ですが、その際海軍が対米戦を無謀として全力で阻止すべく動いたというわけでもありません。
「陸軍の暴走」があったにせよ、それをコントロール出来なかったのは政府や外交上の失敗であり、陸軍が勝手に戦争を始めたせいで…とは、陸軍に責任転嫁をしているようにしか思えません。

また、当時の陸海軍に対するイメージの違いも考慮すべき事項です。
大多数の男性が徴兵された陸軍と志願制を採っていた海軍とでは母数が違い、同じく激しい暴力やいじめが行われていたにもかかわらず、多数の人間が陸軍に対する悪い印象を持ったのは致し方ない事だと思います。(憲兵による思想取り締まりもありました)
それでは戦後、「あの戦争で酷い目にあったのは陸軍のせいだ!」と考える人間が「陸軍悪玉論」なるものを考え出しても不思議ではありません。
戦後出版された元軍人の回顧録も凄惨な戦場を語る陸軍に対し、海軍は特に元士官がエリートを気取り比較的「まとも」だった海軍を懐かしむ内容のものが多いと感じます。

長くなりましたが、戦争とは現在でも外交で上手く解決が図られなかった際の最終手段であり、戦闘を担った軍隊に良いも悪いも無いというのが私の考えです。



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