インタビュー

いと〜し〜さと〜せ〜つ〜な〜さと〜ファンネル!

高校もアルバイトも終わって・・・スマフォで時間を確かめると、
5:32を指している。

(・・・今日が土曜日だから、好きなだけ寝て・・・それから、洗濯、掃除するかや。)

面白みも無い一人暮らし。
たまに、遊びに誘われたり、
アルバイトが早く上がれれば、
泊り込みで一晩中で遊んだりするんじゃが・・・。

「・・・疲れたにゃぁ。」

溜息混じりに、マンションの一室のドアの鍵を開けて、
後ろ手で閉めて、暗い部屋を感覚だけで歩いていき、
財布などを、決まった場所において、
カバンを肩からずり落とす。

そして、そのままベッドに倒れこみ、
脇に設置してあるデスクトップPCに電源を入れて、
常連になっているSNSにログイン・・・。

『ただいまぁにゃ(゚、 。`フ』

それだけをキーボードで打ち込んで、暫くヌイグルミに顔を埋める。
硬水の匂いが完全に染みていて、甘い香りがしんす。

そうやって、ボーっと過ごし、
少し元気になったところで、
SNSに目を戻し、『おかえり』のレスを書き込んでくれている方々に返事していき、
・・・?メッセージの受信ボックスに1件のメッセージが届いておる。

開けてみると、同じSNSでお知り合いになった一回り上の方からの、遊びの誘い。
最近、ゲームセンターに設置されたガンダムの世界観を舞台としたゲームに、
時々、興じるのじゃが、それのお誘いでありんす。

『・・・疲れておるから、明日にしてくりゃれ。』

そう返事を返して、十数秒後、即行で返信がきおった。

『そんな事言うな。給料日過ぎで、出してやるぞ?』

お相手は社会人の10年目の方。
よく、わっちみたいな若い者を捕まえようと思ったものでありんす。

それは置いといて、少し考えてみんす。
あのゲームのプレイ料は決して安くはありんせん。
そして、学費、生活費をアルバイトで稼いでいる身では、
金銭的余裕も、余りありんせん・・・っと、言っても同学年よりは持ってはいるんじゃが・・・。

『分かった。その代わり、18:00頃に迎えに来てくりゃれ。』

それだけ返事を打って、睡眠薬を飲み、しばしの眠りに付きんす。



プルルルルルルルルルルルルルルルルルルル。

外線の音。

(・・・うるさいにゃぁ。)

無視を決め込んで、ヌイグルミに顔を押し付ける。
そして寝直そうとして・・・。

プルルルルルルルルルルルルルルルルルルル。

それでも鳴り続ける外線の音。

渋々、起きて、外線の受話器を手に取るとカメラに映った知り合いの姿。

「なんじゃ?」

『その声は寝起きだな?早めに着て、準備させようと思ってな。』

「ほう・・・?」

時計に目をやると、17:06。

「早すぎじゃ!!」

『どうせシャワー浴びたり、着替えたりで時間が掛かるんだろう?』

「・・・それはそうじゃが。」

『早く準備いこうッ。』

「・・・待っててくりゃれ。」

そうして受話器を元に戻して、

着ていたお洋服を脱ぎ、洗濯籠へ入れて、
浴室に入り、全身を洗い・・・髪の手入れを良くしておきんす。

(痛んでるにゃぁ・・・。)

浴室から出た後は、髪を乾かし、
私服に着替えて、
最低限の顔の手入れをして、
一応、準備は完了。


どう考えても、手抜きの格好じゃが、
気にする気にもなりんせん。

後はカバンに必需品を詰め込んで、
ブーツを履いて、
マンションの自室を出て行きんす。

そして、エレベーターで降りて、
マンションのロービーに出て、
鍵が無ければ内側からしか開けない自動ドアの先に待ち人がいらっしゃる。
その背後には車が止めてありんす。

自動ドアから出て、

「待たせてすまぬ。」

「いや、時間ピッタリ。」

そう言って見せてこられた腕時計は、
丁度、18:00を指しておった。

「では、戦場に赴くぞ!!海月たん!!」

そう行って、車の後頭部座席のドアを開けて乗る事を促される。

「うむ。」

促されるまま車に乗り込み、
お相手も運転席に座った途端、即出発。

20分もしないうちにゲームセンターへ到着。
中へと入り、お目当ての筐体は・・・遅い時間を指定したというのに、
数人の待ち人がおる。

大体、このゲームの基本プレイ時間は6分。
複数人でタッグを組んでするなら、大体20分位は待たぬといかぬかや。

「ちょっとばかり機体の調整をしてきんす。」

そう言って、ゲームプレイ用の機体の調整用の筐体にカードを入れ、
表示されたのは、ジム。
しかし、表示されているステータスは異常なもの。

武装はデフォルトのままだが、
装甲は限りなく薄く、
そして高過ぎる機動性。

その代わりに、
武装の中で飛びぬけて硬すぎるシールド。

プレイをして、さらに弄れるようになった機体の装甲を削り、
シールドの強化を行いんす。
普通はありえない、強化。

それも、この方と組んでこそ生きる調整でありんす。
一通り終わり、カードを引き抜きんす。

「ぬしは調整を行わないのかや?」

相方となる誘い人に声を掛けてはみるが、

「私の機体・・・キュベレイに、そんなもの必要ない!!」

・・・自信満々に言い切りおった。

まぁ、それだけ強い機体なのじゃが・・・。
お陰で、コストが高く激はされた時に、
負けが決まったも同然になりんす。

その為、わっちの機体は低コストのモノにしてありんす。

ゲームの説明をするかや。
このゲーム自体は180°スクリーンに展開される密閉型の筐体で構成されており、
中では同じセンターの筐体の中では、インカムで会話が可能。

基本的ルールは、6分の間に機体を撃破し合い、
撃破し、設定されたコストを削り合う事が勝負の条件でありんす。
つまり、コストが残されていれば、機体の再出撃も可能。

故に組むときは、機体通しのコスト計算をするんじゃが・・・、
わっちの低コストジム(フル改造)と、相方の高コストのキュベレイ(デフォルト)で、
釣り合いを取っているという事でありんす。

さて、時間になったみたいでありんす。

「出撃するぞ海月たん!!」

「おー。」

お互い筐体の中に入り込み、
データが保存されているカードをセット。
お金を入れて、ゲームの協力プレイを選択。
インカムを付けて、準備完了。

操縦桿、フッドペダルを軽く動かしてみて、
対戦相手が表示されるのを待ちんす。

最近は、ネット回線も大容量が普通になってきたため、
すぐに表示される。
相手はΖガンダムとウィングガンダムゼロカスタム。
舞台は宇宙。

(なんとも、高コストの組み合わせでありんす・・・。)

しかし、一応、高威力遠距離攻撃可能な機体が含まれておる。
食らえばわっちの機体なんぞ、一撃持つか、どうか・・・。

「どうやって、攻めるかや?」

インカム越しに話しかけてみんす。

「ウィングガンダムゼロカスタムを私のファンネルで抑えつつ、
二人がかりでΖガンダムを攻めるしかないな。」

「ふむ・・・それが、妥当かや。」

話し終わった瞬間、プレイスタート。

わっちはシールドを掲げながら、一気に相手へと詰め寄りんす。

そして、相方さんは、

「いと〜し〜さと〜せ〜つ〜な〜さと〜ファンネル!」

・・・毎回この台詞に気が抜けるんじゃが、
気に入っているのなら仕方あるまい・・・。

高速移動しつつ敵の遠距離からの牽制の攻撃を、
ペダルと操縦桿を操作して縦横無尽に避けていく。
宇宙空間フィールドだからこそ出来る荒業でありんす。

一応、こちらもキュベレイからの援護で、
ウイングガンダムゼロカスタムを無視し、
Zガンダムにシールドを掲げてぶち当たりんす。

単体のジムなんかで攻めてくるのは予想外だったのか、
簡単に吹き飛ばされるZガンダム。
その代わりに、シールドのゲージが多少減ることになりんす。

それでも、一対一の状況を作り上げることは出来たッ!!
予想外に早く動くジムとZガンダムのビームサーベル同士の斬り合い。

それを、見逃すまいとウイングガンダムゼロカスタムが、
ツインバスターライフルで狙ってきんす。

しかし、ツインバスターライフルを撃ち込みたくても、
ファンネルで邪魔をされて撃つ事が出来ない。

そうして、追いついてきたキュベレイとジムで二対一。
軽々・・・と、いかなくても、味方の援護を受けられないZガンダムを、
何とか葬り、再出撃までにウイングガンダムゼロカスタムも葬る。

そうして、今度は本気で戦うわけでもなく、
6分が過ぎるまでの防戦。

そして時間が過ぎて勝利。

(疲れた・・・。)

・・・たった6分の戦いだけで、
全部の体力を使い果たした気分でありんす。

そうして、擬似コックピットの中でコクリっと、
意識が堕ちたのは言うまでもありんせん・・・。



本当に、土日はグッタりするしか出来なくなったにゃぁ(゚、 。`フ

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