インタビュー
テスト
「はぁあああああああああああああああ・・・。」
掲示板に張られているテストの日程表を見て盛大に溜息をつきんす。
まぁ…、赤点を取る事は無いと思うんじゃが、
最低限の勉強を強いられることになりんす。
隣の友人に目を向けると・・・いつもと変わらない表情・・・。
「そっちの教科は楽な方かや?」
「いや、これなら赤点取っても、問題無いなと思って。」
「・・・そうかや。」
お互いに、選択授業は別々のものが多く・・・高校の入学時に普通科に進学しなかったのが原因なんじゃが。
そのせいで、わっちは情報系、友人は文系と別々の方面に進んでおる。
じゃが、共通の授業もある為、全く授業で顔を合わせないという事もありんせん。
「海月ちゃんのテスト、量は多いけれど勉強しなくても全部どうにかなるんじゃない?」
「まぁ・・・、点数に拘らなければ赤点だけは免れると思いんす・・・。」
「なら、何でそんな盛大に溜息なんてついているのよ?」
「・・・アルバイトとの兼ね合いがありんす。」
友人はテスト表を見直して、
「ああ、確かに・・・ちょっと、厳しい日があるわねぇ。」
「『テストだから休みます。』なんて、言えるアルバイトでもありんせん・・・。」
「仮病使えば?一日ぐらいどうにかなるでしょ?」
「うーん・・・出来ても前日に遅れて出勤くらいかや・・・。」
「そんなに忙しいの?」
「・・・火を盛大に噴いておる。」
「よく分からないわ。」
「朝の5時位にアルバイト先を出られる位でありんす。」
「・・・それなら、今眠いんじゃない?」
「大分、にぇむい・・・。」
「じゃぁ、いつものところへ行きましょう。」
そう言って、わっちの手を引いて歩き出す友人。
廊下を歩いて、階段を上り、また廊下を歩いて、辿り付いたのは・・・図書室。
友人はポケットを漁って、秘密に作っておいた図書室の鍵を取り出し、
『ガチャッ。』
鍵穴に差し込まれて、捻られた鍵は素直に、ドアの鍵を開けてしまいんす。
そして、そのまま中に入り、
『カチャッ。』
図書室の鍵を内側から閉めなおしんす。
それから、図書室の一番奥。
カーテンが引かれており、周りは真っ暗。
外からは絶対に見つからないところへ連れて行かれ、
「お昼休みじゃないけれど・・・サボっちゃおうかな。」
そう言って、足を崩して座り込む友人。
「あまり、気は進まんg「おいで。」」
わっちの台詞を遮る様に放たれる言葉。
友人の太ももに頭を預けて横になる、わっち。
(いつもはお昼休みにゃのに・・・。)
思考がボンヤリとしてきて、サボる罪悪感が薄れてきんす。
薄く目を開いて友人を見上げてみると、
こちらの髪を撫でてきて、
「3限目は受けたくなかったのよ。」
と、優しい声で呟いて・・・。
「やれやれ、本当に手が掛かる子だわ。」
髪を撫でながら見下ろすと、そこには海月の寝顔。
「本当に、力の抜き方が下手というか、走り出したら何があっても止まらないというか。」
髪の毛を一房、手に取り、
「こんなに痛むまで・・・本当に、そんなに頑張る必要なんて無いのよ。」
そうして海月の髪を撫でながら、鳴り出す3限目の始まるチャイムに耳を傾ける。