インタビュー

海月ちゃんが好きな童話ってにゃんですかー?

「好きな童話かや…。」

「何よ、急に?」

「いや、今度の幼稚園児絵の読み聞かせ会の題材なんじゃが…生徒会長が『適当で良いんじゃないか?』っと、ぶん投げてきよった。」

ここは生徒会室。
今、室内にいるのは、副生徒会長のわっちと、書記の先輩。

「ふーん…まぁ、童話なんて沢山あるんだし海月の好みで選べば良いんじゃないの?」

「まぁ…そうなんじゃが…。」

「何か問題でも?」

「いや…例えば、童話で有名なのがグリム童話。」

「あら、ピッタリじゃない。」

「じゃが、原作はエロとグロにまみれた物語ばかりでありんす…。」

「…そこは、原作じゃなくて子ども向けに市販されている物語通りで良いんじゃないかしら。」

呆れ口調の先輩。

「それが…わっちは、子ども向け童話と言う物を良くは知らぬ。」

「は?」

訳がわからないという顔。

「読み聞かせをして頂いた記憶も無いし、幼稚園には行っていないからのう…その手の本に触れる機会が無かったんじゃ。この歳じゃし、手にとってしまう童話は…。」

先輩は事情を聞いて、何を想像したのか複雑な顔をしてきんす。

「なるほどねぇ…。じゃぁ、私が幾つか記憶にある物を聞かせてあげるわ。」

そう言って、急に用具箱から、箒と塵取りを取り出して、掃除を始める先輩。

「何をしているのかや…?」

「読み聞かせの準備よ。」

意図が掴めず、考え込んでいるうちに一畳程のスペースが掃除される。
そして、そこに足を崩すように正座をする先輩。

「おいで。」

これは、一種のわっち専用の言葉。
先輩に近寄り、そのまま膝に頭を預けて横になりんす。
簡単に言ってしまえば、膝枕かや。

「わざわざ、この状態じゃなくても良いと思うんじゃが…。」

「子どもの読み聞かせには、普通はこうするのよ。それとも、膝に座りたい?」

「…いや、このままで大丈夫でありんす。」

子ども扱いをされて、何となく気恥ずかしくなりながらも、頷いておきんす。

「さて、何を話そうかしら。」

「…不思議の国のアリス。」

後頭部は温かく、若干の眠気の中で何気なしに答えてみんす。

「アリス?何で?」

「…何となく。」

その返事を聞いてクスクス笑い出す先輩。

「何か…変なこと口にしたかや?」

「いつも、それなりの理由を並べ立てるのに『何となく。』って、何だか可笑しくって。」

わっちは拗ねたように、体ごと顔を横に向ける。
それが余計に可笑しかったのかクスクスと笑い続ける先輩。

「…お話、してくりゃれ。」

先輩は、はいはい、と返事をしつつ、わっちの髪を軽く撫で、
不思議の国のアリスの朗読を始めたでありんす。

「ある日、少女が庭で…」

物語が進むごとに、眠気が増していき、自然と目が閉じる。

「片手に懐中時計を持ったうさぎを追いかけて行き…」

不思議な心地よさに、力の抜けていく体。

「薬を口にすると、アリスの体は、見る見るうちに小さくなり…」

すーっと、堕ちていく意識。



「…気が付くとアリスは家の庭に戻ってきていました、おしまい。・・・あら?寝てしまったかしら?」

わっちの髪を撫でながら呟く先輩に、

「…起きておる。」

ぼんやりとした眼で、身を起こし、先輩に向き直りんす。

「可愛げがないわねぇ。」

髪の毛を、わしゃわしゃと撫でてくる先輩に、

「わっちが眠れるのは、薬を飲んだときぐらいでありんす。」

なされるがままの、わっち。

「で、感想はどうかしら?」

「…そうじゃな。」

時計をチラリと見て、

「物語の尺が長いから、不思議の国のアリスにするなら話を削るなりする必要がありんす。あと、話を聞かせるときに、もっと声に抑揚を付けると子どもは喜ぶかのう。」

「そうじゃなくってッ!!」

急に、胸にわっちの頭を抱き寄せて、

「安心するでしょう?」

柔らかい感覚越しに、トクトクと先輩の心臓の音が聞こえる。

「…心音とは、胎児であった頃の、守られている状態を思い起こさせる。じゃから、安心すると言われておる。」

「そうじゃなくて!!」

さらに力を強めて抱きしめられたでありんす。

心地よい感覚。
余計な思考が取り払われて、
残るのは、ポカポカとする安心感。

でも。

「…わっちは悲惨な幼少時代なんぞ送っとりゃせぬ。」

否定し続けないといけない過去、そうしないと壊れそうな心。

「そう。」

それを見透かしたように、優しく抱きしめてくれる先輩。






















数分後。

「なんだかムラムラしてきたわ。」

「え…?」

「すぐに済むから、大人しくして置きなさい。」

先輩は背中に回していた両腕を離し、
わっちの両腕掴んだ後、左手でわっちの両腕を纏めて押さえつけて押し倒してきたでありんす。

「…先輩、冗談は止めてくりゃれ。」

「ふふふふ。」

「目が、目が怖いッ。」

「大人しくしてなさぁい。」

「わッ、そ、そんなところに手を入れちゃッ。」


















え、続き?考えてにゃいよ。
まぁ、好きな童話を挙げるのなら『不思議の国のアリス』かや(゚、 。`フ

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