インタビュー
くらげたん@^^
早朝と夜の堺、雨の降りしきる中。
わっちはビルの壁面に背を預けて座り込んでおった。
勿論、雨水を防げるはずも無く、
全身、濡れ鼠状態。
一つ幸運なところは、仕事・・・といっても、アルバイトじゃが、
その道具を仕舞ってあるカバンが防水という事かや・・・。
座り込んでいる理由は、ただ一つ。
三徹目のタスクが完了して、
ビルから出た時点で、気が抜けたところでありんす。
「・・・あー、冷たいにゃぁ。」
全身を濡らす雨に体温を奪われ、弱音が零れる。
そして、体力も奪われて立つ気も起きる気配はありんせん・・・。
それでも、
『くらげたん@^^』
マンションに帰ると、どんな時間でも出迎えてくれる人がおる。
余り、心配させるわけにもいかないかや。
何とか、足に力を入れて、壁に背中を擦り付けるようにして立ち上がりんす。
震える足、普段は重くも感じないカバンが酷く重たい・・・。
右手を壁に付きながら、何とか前進して行きんす。
壁が無いところは、何とか足だけに力をこめて転ばない事を意識して、
(あぁ、そういえば腕時計・・・防水じゃなかったにゃぁ・・・。)
ふと、左手に意識を向けた瞬間、バチャリッと水溜りに倒れこむわっち。不覚・・・。
両腕に力をこめて立ち上がろうとして・・・ベシャッと、倒れこみんす。
(こんなに体力なかったかにゃぁ・・・。)
それでも、
『くらげたん@^^』
(これ以上、待たせる訳にはいかないかや・・・。)
這いずるなんて真似はしたくないから、
また、両腕に力をこめて、両足に力をこめて、
何とか立つことは・・・っとッ!!
体制を崩しそうになり、何とかすぐ隣の建物に手を着いて、
それでも、滑って、
バチュッ!!
壁についた手に痛みが走り、
体勢を崩さないように目を向けると、
中指と人差し指の爪が剥がれて、何とか皮だけに繋がっていた。
(はは・・・これは、流石に・・・痛いにゃぁ・・・。)
でも、痛みのお陰で疲労感が薄まっていることに気付きんす。
皮一枚で、ぶら下っている状態の爪を、ブチッと引きちぎり投げ捨てる。
余計に痛みが増して、比例するように思考がクリアになりんす。
(体が、少しだけ、軽いッ。)
壁に手をつかずとも、歩くことを意識しなくとも、
全ては痛みが掻き消してくれる・・・これは、不幸中の幸い・・・いや、不幸中の災い、かや。
いつもは十数分で、歩ける道のりを、えらく時間が掛かりつつも、
(やっと・・・見えてきたにゃぁ。)
わっちと・・・同居人の借りているアパートが見えてきたでありんす。
足を早く動かしているつもりなのに、
アパートが酷く遠く・・・それでも何とか、
自動ドアの前まで着き、オートロックを外す為に、
緩慢な動作でポケットからキーを取り出し差し込む。
自動ドアを潜り抜けた後は、大理石の床を歩き・・・そして、前に転び額を打ちつけたでありんす。
額から熱いモノが零れ落ちる感覚と・・・下に目を向けると赤い水溜り。
(まぁ・・・放っておいてもいいかにゃぁ。管理人の方、ごめんにゃさい・・・。)
そして、爪の剥がれた指と、割れた額から血を垂れ流し・・・赤い小さな水溜りを作りながら、
エレベータの前に立ち、上へ向かうボタンを押しんす。
幸い、1階で止まっていたエレベータは、すぐにドアを開き、
わっちを招き入れる。
それから、目標の階を押し、それまでの間、エレベータの壁にもたれかかりんす。
一箇所にとどまっているため、流れ出していく血が、どんどん大きな血溜まりを作っていきんす。
(・・・警察沙汰とかに、ならないと良いけどにゃぁ。)
そんな事を考えつつ、最上階近くまで上り終えたエレベータが動きを止め、ドアを開く。
わっちの動きは緩慢じゃったが、何とか自動的に閉まる前に、下りることが出来たでありんす。
それから、フラフラと一番奥の角部屋へ向かい、
部屋のドアの前に立ち、キーを差込み・・・ドアが重くて開けることが出来ぬ・・・。
その場で、へたり込みそうになった途端、内側からドアが開き、
「おかえりなさい、くらげたん@^^。って、どうしたのッ!?」
(ニヒヒヒ・・・この惨状を見たら、そんな反応にもなるかにゃぁ・・・。)
「ちょっと色々と・・・。」
と、口にしているうちに視界がぼやけ、
相手の方へ倒れこみ、
フワッとした感触に包まれる感覚と、
慌てた声が聞こえつつ・・・。
(ただいま。)
そこで、意識がプッツリととぎれたでありんす。
疲れきったときは、似たような惨状になりんす。
違いは・・・何かにゃぁ、ニヒヒヒ(゚、 。`フ