インタビュー

海月ちゃんは透明ですか?

放課後の屋上。
友人は座り込んで、
わっちは、手すりに腰掛けてボーっと、
グラウンドを走り回る部活中の生徒達を眺めていたときでありんす。

「海月ちゃんは透明ですか?」

「…急に何を言い出すのかや?」

一緒に眺めていた友人がいつの間にか、こちらを向いていたでありんす。

「何となくです、そのまま消えてしまいそうな気がして。」

「ふーん…つまり、こういうことかや?」

腰掛けていた手すりから、体を傾けて…。

「ちょッ!!」

「ニヒヒヒ、冗談でありんす。」

足だけは手すりに引っ掛けてぶら下っている状態のわっち。

「危ないから、早く降りてくださいッ!!」

慌てる友人を他所に、

「はぁい。」

間延びした返事をして、体勢を直す。

「まったく…海月の行動は、いつも奇抜すぎますッ!!」

「ぬしが変な事を聞くからでありんす。大体、本当に透明なものなんて…。」

一陣の風が吹いて、

「これくらいのものでありんす。」

「これ?」

訳が解らないという顔をする友人。

「光の屈折率が0%のものと答えるより、マシじゃろう?」

「…なんだか、誤魔化された気分です。」

少し顔をしかめている友人に、

「そろそろ寒くなってきたでありんす…教室に忘れ物をしたから先に帰っていてくりゃれ。」

「少しなら待ちますよ?」

「少しで終わらない、忘れ物でありんす。」

「…よく解りませんが、それなら先に帰ります。」

「うん。」

そうして、屋上で別れ、

「さて…。」



次の日



校門前には数台のパトカー。

「…え?」

ふと蘇る記憶。

『少しで終わらない、忘れ物でありんす。』

急いでグラウンド側に回ると、黄色いテープと見えないように囲まれたブルーシート。

近寄ろうとした途端、

「早く教室へ行きなさいッ!!」

近くに居た教師が叫び声を上げてくる。

「な、何があったんですか?」

「…気にしなくていいから、早く教室へ行きなさい。」

(そうだ、教室へ行こう。海月なら、いつも早めに登校して机で眠っているはず…。)

爆発しそうなくらいに、ドクドクと鳴り続ける心臓の音を聞きながら教室へ急ぐ。
そして、教室の戸を開けて、

「…いない。」

いつも、うつ伏せでスヤスヤと眠りこけている海月の姿が見当たらない。
フラフラと歩いて、自分の席へ座る。

『さっき吹いた風の事でありんす。目には見えず、一瞬だけの存在で、後には何も残らない。』

昨日の言っていた事を思い出しては、頭がグラグラする。

そして予鈴と共に教室へ入ってくる担任。

「今日は皆さんにお知らせがあります…。」

(止めてくれ。止めてくれ。止めてくれ。止めてくれ。止めてくれ。止めてくれ。止めてくれ。止めてくれ。)

「実は…」

(お願いだから、その先を言わないでくださいッ!!)

「今朝…」

ガタッと乱暴に開けられる戸の音と共に、

「せ、先生。セーフかや…?」



…戸口には、息を切らせた海月が立っていました。













久しぶりに書くと、視点の使い分けが難しいにゃぁ…(゚、 。`フ

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