インタビュー

玄関あけたら、段ボールに入った捨てペンギンが・・・

「…。」

「グァ。」

マンションのお部屋の玄関あけたら、段ボールに入った捨てペンギンが・・・。

(捨てペンギン(゚、 。`フ)

一応オートロックのマンションでありんす。
故に、普通はこんな事なんて無いはずなんじゃが…。

「グァ。」

目の前には、ダンボールに入ったペンギンが存在しんす。

「どうしたものかや…。」

とりあえず、ダンボールごと持ち上げて、
お部屋の中へ入れたでありんす。

流石に玄関に置きっぱなしというのは、不味いじゃろう…。

「ぬし、飼い主はどうしたのかや?」

「グァ?」

「日本語で喋ってくりゃれ。」

「グァグァ。」

(意思の疎通は無理そうでありんす…(゚、 。`フ)

ダンボールから出て、お部屋の中をペタペタと歩き出すペンギン。
むむむ、これは可愛らしいでありんす。

が、困った状態には変わりんせん。

(こういう時は…保健所かや…?(゚、 。`フ)

「いや、保健所も扱いに困るじゃろうなぁ…。」

と、ピーンポーンとドアのチャイム。
ドアを開けるとケージと紙袋を持ったお父様が立っていたでありんす。

「旅行行ってくるから預かってろ。」

それだけ言って、ドアを閉めて行かれてしまったでありんす。

(あー…そういえば、お母様が言っていたような…今日だったのかや…(゚、 。`フ)

しかし、ケージの中にはパタパタと暴れまわる、真っ黒なミニチュアダックスフント。
そして、部屋の中には謎の捨てペンギン。

「会わせて大丈夫なのかや…?」

まぁ、ケージに閉じ込めておくのも可愛そうなのでワンコを出して上げたでありんす。
足元にじゃれ付き、撫でると興奮して…あ、オシッコしたでありんす…。
この子は、会うたんびに、いつもこうじゃ…まぁ、喜んでくれるのは嬉しいんじゃがな…。

紙袋の中から、トイレットペーパーと臭い消しを出して、片付けようとして、

ペンギンとワンコの目が合ったでありんす…そして、猛然と走り飛び掛っていくワンコ。
それから、ペタペタと逃げようとしたペンギンが、後ろから押し倒されたでありんす。

「ワンッ、ワンッ。」

「グァッ、グァッ。」

ペンギンとワンコの二重奏でありんす…じゃなくてッ!!

「お前たち、静かにしてくりゃれッ!!」

無理矢理引き剥がし、吠えるワンコの口を押さえる。
ペンギンは…あぁ、部屋の隅に逃げてしまったでありんす…。

「落ち着いたら、手を離しんす。」

ワンコに言い聞かせて、一分ぐらい経ってから手を離したでありんす。
そうして、今度は飛び掛らずにゆっくり近づいて臭いを嗅ぎ出したでありんす。

嫌そうにしているように見えるペンギンじゃが…、

(まぁ、大人しくなったのなら良いかや(゚、 。`フ)

そのまま放置して、ベッドに寝転がり、適当にネットを見ていると、
ワンコも飛び乗ってきて、横を陣取り丸くなってきたでありんす。

「お昼寝かや?」

薄っすらと目を開けて、そしてまた目を閉じるワンコ。
っと、ペンギンも飛び乗ってきたでありんす…って、脚長ッ!!

「ぬしの脚は普段は折りたたまれているのかや…。」

その言葉を聞いているのか、いないのかワンコとは逆の方向に、わっちを挟んで横になるペンギン。

「ぬしもお昼ねかや…。」

シングルベッドで、ペンギンと、わっちと、ワンコという不思議な川の字になりながら…、
とりあえず、この子をどうするか決めるかや…。

とはいえ、ネットで検索しても、『ペンギンを拾った』とも『ペンギン募集』の書き込みもありんせん…。

(…動物園とかだったら引き取ってもらえるじゃろうか(゚、 。`フ)

「いや、一応、紛失物として警察へ届けるべきかや…?」

しかし、ペンギンを警察に届けるなんてお話、聞いたこともありんせん…。

八方塞でありんす…。

「もう、わっちも寝るッ!!」

考えて仕方の無い事は、寝るに限るでありんすッ!!

それから、数日間ペンギンと、ワンコと、わっちの騒がしい生活の始まりでありんす。

とりあえず、ペンギンには特売品の魚を与えて、ワンコにはドックフードを食べさせて、
トイレだけは何故かペット用のトイレシートにしてくれるでありんす。

(やっぱり、元々誰かに飼われていたのかや…(゚、 。`フ)

「だとしたら飼い主を…いや、捨てられていたんじゃから見付けても無駄かや…。」

数日経つと、ペンギンもワンコも打ち解けたみたいで、軽くじゃれ合うようになり、
お昼には1人と二匹で川の字になり…。

(流石に、この生活を続けるわけにもいかないでありんす…(゚、 。`フ)

仕方なく、保健所、警察署、動物園、動物保護団体に電話を掛けてみて、
保護団体の方が受け取りに来てくれる事になったでありんす。

当日。

「ぬしとも今日でお別れじゃな。」

「グァ。」

プルルルルルルルルっと外線の音。

「迎えが来た見たいでありんす…。」

電話に出て、それから手渡す事になったでありんす。
ワンコは不穏な空気を感じたのか、

「クゥン。」

っと、ペンギンに近づいていったでありんす。

「今日で子のことはお別れじゃ…。」

そうして、ペンギンを抱っこして、靴を履き、外に出る準備をして…ワンコも足元までついてきたでありんす。

「お前も見送りに行くかや?」

無言で見上げてくるワンコ。

ドアを開けて、外に出て、ワンコも隣を付いてきたでありんす。
そしてエレベータに乗り、外に出て、

「保護団体の方かや?」

「そうです…その子が例のペンギンですか?」

30代半ばの男性が相手だったでありんす。

「そうでありんす。」

「引き取らせていただきます。」

「お願いしんす。」

と、手渡した瞬間、

「グァッ!!グァッ!!グァッ!!」

暴れだすペンギン。

その頭に、ポンと手を置き、

「その人は、怖い人じゃありんせん。ここ数日楽しかったでありんす。」

「グァ…。」

「御然らばじゃ。」

そして、ペンギンを抱き上げ車に乗り込もうとする男性に着いて行こうとするワンコを無理矢理抱っこして、
去っていく車を見送ったでありんす。

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