インタビュー
あー、あー、あー、マイクテス、マイクテス、聞こえてますかー?
『あー、あー、あー、マイクテス、マイクテス、聞こえてますかー?』
「聞こえていないと困りんす…。」
『聞こえているようだな。』
「うん。」
『今回のターゲットは忘れていないな?』
「ダイヤモンドでありんす。」
と、言うわけで、今回の獲物は500カラットの世界最大級のダイヤモンドでありんす。
とはいえ、
『手順は覚えているな?』
「警報装置、監視カメラ、重力センサー、赤外線センサーが2:00時に1分だけダウン、それに気付いた警備員が到着するまで30秒。」
『90秒以内に、盗んで逃げる。簡単な仕事だろ?』
「口にするのは簡単ですけど、やるのは、わっちでありんす…。」
『こっちだって、図面の調達やら、警備の巡回ルートやら、警備システムのクラッキングやら大変だったんだぞ?』
「肉体労働、というか普通に射殺される危険性のある、わっちの身にもなってくりゃれ…。」
『まぁ、この仕事が済んだら、暫くは遊んで暮らせるんだから我慢しろ。』
「…はーい。」
時計を見て、1:50。
空調のダクトの中に潜入までは、上手くいったんじゃが…、
目の前の、冷房の排気の格子には、ゴーグル越しに赤外線のセンサーが見えているでありんす。
(毎回、これを突付いてみたくなる衝動を堪えるのが大変なんだよにゃぁ・・・(゚、 。`フ)
ダクトから出て、ダイアモンドまでの距離は50m。
強化ガラスの中に入れられていて、手持ちのキッドで開けられなかったらアウトでありんす。
(まぁ、こいつで開けられない物なんて無いと思うけどにゃぁ(゚、 。`フ)
そういって、腰に着けてあるキッドケースに手を伸ばして軽く撫でてみたでありんす。
中には、人体もサックリと切れるガラスカッター。
重さ300kgまで支えられる鉤爪の付いた特殊ロープ。
後は、プラスチック爆弾に時限式の信管。
これだけで、大抵のところには忍び込めるでありんす。
(こっちは使いたくないにゃぁ…(゚、 。`フ)
右太ももに括り付けてある、ナイフとサイレンサー付きの拳銃。
お守り程度に持ってはいるが…最悪、見つかれば何人かは殺す事にもなりんす。
っと、時間5分前でありんす。
ロープを取り出して・・・目の前の赤外線センサーが消えたでありんすッ。
格子を素早く外して、ダクトの縁に鉤詰めを掛けて、下に降りる。
それから、50mを一気に駆け抜け、ダイアモンドの入ったガラスケースの前に立つ。
(ニヒヒヒ、ご開帳でありんす(゚、 。`フ)
ガラスカッターでサックリと強化ガラスを開けて、ダイヤモンドを取り出してッ。
ここまでで20秒。
(余裕でありんす(゚、 。`フ)
が、
カツ、カツ、カツ・・・という、足音。
(えッ?(゚、 。`フ)
台座の後ろに座り込み身を隠して、線を引くように照らしていくビームライトの光。
(えー…、警備員早過ぎでありんす…。あの阿呆、調べを怠ったのう…(゚、 。`フ)
そして、ダイヤモンドの置いてある台座が照らされ、
中身が無い事に気付き、慌てて近寄ってくる足音。
(…仕方が無いにゃぁ(゚、 。`フ)
そっと、ナイフを抜き取り、わっちの屈んでいる反対側の台座の目の前で立ち止まるのを足音で確認して、
一気に立ち上がり、相手の驚いた表情をした顔の側頭部にナイフを一閃させ…柄を叩きつけて気絶させる。
(コロシイクナイ(゚、 。`フ)
一応、顔は隠れるようにしてあるとはいえ見られてしまったでありんす…。
ならばッ、さっさと逃げるの一手ッ。
時計を見ると、残り20秒しかありんせんッ。
(間に合えーッ!!(゚、 。`フ)
ロープの場所まで走って、急いで上りきりッ・・・、
瞬間、赤外線センサーが生き返って、格子のはまっていた場所が塞がれたでありんす。
「この阿呆ッ!!警備員に見つかったでありんすッ!!」
無線機に向かって、小声で怒鳴りつけたでありんす。
『見つかったのかッ!?相手はッ!?』
「気絶させておいたでありんす。」
『殺せ。』
「嫌じゃ、それに警備システムも復活しておるから、どっちみち戻れぬ。」
『チッ、さっさと出て来い。』
「言われなくてもッ!!」
と、会話をしながらダクト内を進み、ダクトの外…屋上まで逃げてきたのは良いんじゃが下を見たら、
(警備員がウヨウヨだにゃぁ…(゚、 。`フ)
少し考えて、
(少し荒っぽい事をするかにゃぁ(゚、 。`フ)
屋上の今居た反対側へ行っ、
てプラスチック爆弾に信管をセット、
タイマーを5秒後にセットして、ポイッと。
数秒後に、爆発音…そして、罵声と、おー、警備員が集まってきているでありんす。
反対側へ戻って、高さが約10m。
ビョンッと飛び降りて、そっと着地。これくらいなら、道具なんて要らないでありんす。
そして、外壁まで走って、ロープを投げつけ鉤詰めを引っ掛け、
一気に上りあがり、外へと脱出成功でありんすッ!!
それから、すぐ近くに止めてあったバンに乗り込み、
「さっさと逃げるでありんすッ!!」
「あいよー。」
急発進するバン。
「さっきの爆発音は?」
「目くらましに、プラスチック爆弾を使ったでありんす。」
「殺ったのか?」
「コロシイクナイ。」
「…はいはい。証拠は残さなかっただろうな?」
「流石に外の監視カメラには映ったんじゃないかにゃぁ。」
「はぁ…。」
「これは、ぬしのミスでありんす。」
相手はぶっちょう面で、
「はいはい、スイマセンでしたねー。」
「危うく、死ぬところだったでありんす。」
「…後で贅沢させてやるから。」
「とりあえず、ふかふかのベッドで寝たいでありんす。」
「分かりました、よっとッ。」
そして、深夜の街を疾走していくバンと共に逃走する2人組みでありんす(゚、 。`フ