インタビュー

肉団子とミートボール、どっちが好きですか?

小学校の頃でありんす…。

家庭の食事関係は…まぁ、深くは語らんがのう。
何が引き金だったのか、壊れていく家庭だったでありんす。

そして、小学生の低学年、恒例行事として遠足がありんした。

普段は給食で、皆と同じものを食べていたでありんす。
しかし、遠足となるとお弁当でありんす。

…料理が出来ないわけじゃありんせん。
ただ、みんな、親の手料理を持ってくる中で自分で作るお弁当が少し寂しく感じたでありんす。
だからかや…こんな事を口にしていたでありんす。

「お母様、明日は遠足があります。」

「…ふぅん。」

「あの……お、お弁当を作って頂きたいのですが…。」

お母様はお財布から1000円札を出し、それを渡され、そして寝室へ行ってしまわれましたでありんす。

(…こうなる事は分かってた。)

外へ出て、スーパーへ向かい…どうせ、お弁当ならコンビニのほうが楽かな…っと、
考えながら、冷凍食品のコーナーへ向かいんした。

そこで、色々な冷食を眺めて…、

(お弁当に入れるものって何かな?)

目を閉じて、むかしの記憶を思い出そうと…。

「あら、1人でお買い物?」

ふと、声を掛けられた方向に目を向けると、近所のおば様が立っていました。

「明日の遠足のおかずを買いにきました。」

「自分でお買い物?えらいねー。」

そう言って頭を撫で頂けたでありんす。

「でも、何を買えば良いのか分かりません…。」

「ん?お母さんが作ってくれるんじゃないの?」

「…母は、体調を崩していて。」

「まぁ、それは大変ねぇ。」

嘘つき人生の始まりもこの辺りでありんす。

「わかった、おばちゃんが作ってあげるから、好きなおかずを言ってごらん。」

「いえ、お手数を掛けるわけには…。」

「子どもが遠慮しないのッ!!」

どうしようか迷っていると、

「地味になっちゃうかも知れないけれど、おばちゃんが選んでいいかな?」

「あ、いえ…お願いします…。」

「うーん、冷凍食品だと味気は無いけれども、お弁当としては便利なのよねぇ。」

そう言って、あれこれ手にとっていかれたでありんす。

「海月ちゃん、肉団子とミートボール、どっちが好き?」

(違いが分からないけれど…。)

「ミートボールです。」

「うん、じゃぁ、入れてあげよう!!」

そう言って、ミートボールの冷凍品を手にとる、おば様。

「後は…家の冷蔵庫の中身と、今日の夕食で如何にかなるかしら…。」

「あ、あの少ないですけれど…。」

お財布から、お母様から受け取った1000円札を出したでありんす。

「いらない、いらない。気にしなくて良いの。」

そう言って、また頭を撫でていただいたでありんす。。

それからお買い物にお付き合いして、車でお家まで送って貰いんした。

「じゃぁ、明日の朝、受け取りに来てね?」

「はい、ありがとう御座います。」

「おばちゃん、頑張っちゃうからッ!!」

その言葉を聞きながら、車を降りて、もう一度、頭を下げ、お家の玄関を潜ったでありんす。



そして、翌朝。
おば様のお宅のピンポンを押し、

「どちら様?」

「早朝に失礼いたします、海月です。」

「あらッ、ちょっと待っててねー。」

数分後、家のドアが開き、

「お待たせ。はい、お弁当。」

「ありがとうございます。」

お弁当箱を手渡されたでありんす。

「あんまり美味しくないかもしれないけれど、そのときはゴメンね?」

「いえ、作っていただき、ありがとう御座います。」

「もうッ、昨日からかしこまってばっかりッ…。」

「ご、ゴメンなさい…。」

「怒ってないわよ。」

「…はい。」

おば様は少し困った顔をした後、

「甘えてもいいし、」

(灰皿で殴られて、)

「ワガママを言ってもいいのよ。」

(壁に叩きつけられます。)

「…分かり…分かった。」

「よしッ、じゃぁ、元気にいってらっしゃいッ!!」

「いってきます。」

そうして、リュックサックにお弁当箱を仕舞って、走って学校へ向かったでありんす。








なんてにゃ(゚、 。`フ

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