インタビュー
遊んでくれませんか?
『遊んでくれませんか?』
始まりは、夜中に届いた1通のメールだったでありんす。
(アドレスだけが表示、ドメインはフリーメールじゃなくて、携帯かや?)
「これは返信すべきかや・・・。いや、誰か確認する方が先かや。」
『誰かや?』
そう返信したでありんす。
「これでよしっと。」
次の日
同じ時間くらいに、同じアドレスから返信があったでありんす。
『アナタの知っている人です。』
「・・・わっちの知っている人?」
(アドレス変更通知を見逃して、知人のアドレス古いままだったかや・・・?)
『すまぬ、誰か教えてもらえぬかや?』
次の日
また、同じ時間くらいに、同じアドレスから返信があったでありんす。
『分からないんですか?』
「分からないから聞いたんじゃが・・・。」
(また、聞けばいいかや。)
『分からぬ、教えてくりゃれ?』
次の日
そして、同じ時間くらいに、同じアドレスから返信があったでありんす。
『悲しいです・・・。』
(悪い事をしてしまったかや・・・。しかし、登録されていない人物は分からぬ・・・。)
「どう返信したものかや・・・。」
(今までのやり取りから推測してみるかや。)
(メールは1日一通。)
(ほぼ定時に送られてくる。)
(相手はわっちを知ってる。)
(わっちがすぐに思い出せんという事は、ほとんど会わない人物。)
(携帯のアドレスを変更した事は無いから、今までメールアドレスを交換した人と不通になる事は無い。)
(一番のヒントは、滅多に思い出せない人かや・・・。)
(クラスメイト、違う。)
(友達、違う。)
(アルバイト先、違う。)
(となると、わっちのアドレスだけ教えた人物・・・。)
(そして、滅多に行かない場所・・・。)
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あッ。)
「思い出した気がしんす。」
『明日、会いに行く。待っててくりゃれ。』
そう返信したでありんす。
次の日
わっちは学校をサボって、大規模な病院の前に立っていたでありんす。
(間違いが無ければ・・・。)
病院へ入り、
白い廊下を渡り、
集団入院室を通り過ぎ、
個室病棟まで来たでありんす。
そして、ドアの前に立って、コンコン、とノックをしたでありんす。
数秒たって、
「・・・はい。」
返事が返ってきたでありんす。
「わっちじゃが、入ってもいいかや?」
「えッ、あッ、ど、どうぞッ。」
「失礼。」
そこには、点滴に繋がれて、ベッドの上で上半身だけ起こした線の細い少女がいたでありんす。
「久しぶり。」
「お、お久しぶりですッ。」
「短期入院で知り合ったとき、ぬしのアドレスを聞き忘れていたから、思い出すのに苦労したでありんす。」
「あ・・・そうだったんですか・・・。」
「じゃが、わっちは此処に居る。」
「・・・はいッ。」
「ぬし、今日は体の具合はどうかや?」
「今日は落ち着いています。」
「そうかや、良かったでありんす。」
さて、本題に移るかや。
「何をして遊ぶかや?」
少女は笑顔で・・・っと、答えたでありんす。