インタビュー
空から女の子が降ってきました。その子は核ミサイルのスイッチを持っています。 あなたならどうしますか?
ふと、空を見上げると女の子が落下してきている。
(あの高さだと怪我じゃすまない…。かと言って、まともに受け止めたら、わっちの腕が壊れるのう。)
と、考えつつ気付いたら走っていたでありんす。
(この辺りなら受け止められる…、腕を伸ばさなかったら目の前に紅い華が咲く。後者は無い。)
腕を伸ばして…瞬間、人間1人分の体重と重力。
(あうッ…腕壊れるッ!!)
後ろへ倒れるようにして、何とか衝撃を逃すようにしたでありんす。
結果、頭を打ったが…女の子には怪我は無さそうじゃ…。
倒れて、上には女の子が覆い被さっている状態で空を仰ぐ。
(飛び降りが出来そうな建物は無い、何かの飛行音も聞こえなかった。…頭が痛いでありんす。)
とりあえず、人通りが無い道といえ、この体勢は…。
「ぬし、起きておるかや?」
「あ、はい。」
「なら退いてくりゃれ。」
「すいません。」
気絶しているかとも思ったら、意識はあるようじゃ。
とりあえず、身を引いてもらって、こちらも起き上がる。
「色々と聞きたいが…ぬし、何者かや?」
「分かりません。」
「落ちてきた理由は?」
「気付いたら。」
「…身分証明になるような物は持っていないのかや?」
女の子はポケットをゴソゴソと漁り始め、
「これしかありません。」
四角くて、ボタンのようなものが付いているものを取り出したでありんす。
「それは何かや?」
「核スイッチです。」
「…押したらどうなるのかや?」
「全世界の核ミサイルが発射されます。」
荒唐無稽な話じゃが…何も無い空から降ってこられて、簡単な記憶喪失、取り合えず信じる方向で話を進めてみるかや。
「押したら大変じゃな。」
「大変です。」
「壊せないのかや?」
「とても頑丈です。」
「…取り合えず、警察か病院行くかや?」
「嫌です。」
「何故?」
「好きな人なんて居ません。」
「その通りじゃな…じゃが、警察で失踪届けとかは出ているかもしれん。」
「嫌です。」
「…分かりんした。」
と、言いつつ身の振り方を考えてみる。
1.無理やり警察へ連れて行く。
2.無理やり病院へ連れて行く。
3.放置。
(どれも難しそうじゃ…。)
「ぬし、行く当てはあるのかや?」
「ありません。」
「核スイッチを持った少女が空から降ってきた状況を如何すればいいか、正直迷っておる。」
「アナタは御人好しですね。」
「…そうかや。」
「なので、しばらく厄介させて下さい。」
「厚かましいのう。」
「他に頼れる方がいません。」
「警察が無難だと思うんじゃがな。」
「嫌です。」
「…分かったでありんす。わっちの腕と頭の治療もしたいしのう。」
それから、わっちの住んでいるマンションへ向かうことになったでありんす。
「なぁ、やっぱり警察へ…。」
「嫌です。」
そして、空から落ちてきた核スイッチを持った女の子との奇妙な生活が始まるのじゃが、また別のお話でありんす。