2020年10月22日 21時16分
ひざし
始まりでも終わりでもない、先の見えない階段の踊り場に、うずくまっているような感覚。
とりあえず休んでいいけど、またいつか、この階段を上らなきゃいけない。終わりの見えない、長い長い階段を。
1日の終わりを、そんな風に感じ始めたのはいつからだろう。
昨日も今日も、判で押したような代わり映えのない日々。こんな日々、もう終わりにしたい、しなくちゃと思うのに、ほんの1枚、薄っぺらいドアが開けられない。
きっかけは小学生のころ、いじめにあって。
肉体的なことはまだ耐えられる。とても痛くて、惨めで、悔しかったけど。
でも、学校から帰ってきて、僕の体に傷が増えてたり、物が無くなっているのを見て、悲しんでいる母さんを見るのが、とても。
でも、それ以上にショックだったのは、ただひとりの親友だと思ってたやつに、裏切られたことだ。
子どもの頃から毎日一緒に遊んで、兄弟のようにすら思っていた。それなのに彼は、僕のことをまったく助けてくれなかった。
『コウちゃんになにかあったら、俺なにがあっても助けるからな』
そんなことを言って、お互いになにがあっても助けると、男と男の約束までしていたのに。
現実には、強きをくじき弱きを助くヒーローなんていなくて、悪者をやっつける力を授けてくれる変身ベルトもない。
弱いものはただ虐げられるだけなのだと、あのときわかった。
終わりのない嵐に耐えることに、僕はとうとうできなくなった。
心のどこかで、それでも、あいつなら助けてくれると、どこかで思い、信じていた。でもある日、それがぽっきり折れてしまった。
ひょっとしたらそれは、あいつが勇気を振り絞り、嵐に立ち向かってくれようとした前日のことだったのかもしれない。でももう、僕はそれを信じて、待てなかった。
あれだけ強い絆があったと思ってたやつでも、ひとは平気でひとを見捨てる。
そう思うと家族以外、誰も信じられなくなり、外に出るのがたまらなく怖くなった。
でも、もう、それも、終わりにしなくちゃならない。
階下から聞こえてくる、父さんと母さんの言い争う声。ここ最近、毎日のように聞こえてくる。
引きこもりの僕のことを、話し合う声。僕がどうすれば、立ち直れるのかを。
でも話し合ううちに次第に論点はずれていき、やがては過去のあれこれの不満や、お互いの人格を否定するような言葉まで飛び出す。
僕のせいで、家族が壊れていく。
そんなのは、嫌だ。だからもう、終わりにしなくちゃ。部屋から出て、学校に通わなくちゃ。
心は決まっていた。決めていた。
中学校にはまだ通えていない。でも担任になった先生はたびたび家に来てくれて、プリントを届けたり、ドア越しにやさしい声をかけてくれたりしている。
返事もできない僕に、おだやかで、やさしい声を。
姿を見たことはないけど、あの先生が担任なら、大丈夫かもしれない。
そう思っても、体がついてこない。怖いって震えて、たまらなくお腹が痛くなって、えずいて、どうしようもない。苦しくて、悔しくて、情けなくて、涙がにじむ。
なにか、なにかきっかけがあれば。あいつが手を引っ張って、僕を連れ出してくれればいいのに。
でも、そうなったとしても、僕はあいつの手を、もう一度、取ることができるのだろうか。
カーテンの隙間から差し込む朝の日差しは、今朝も眩しい。
らら
コウちゃん( ・ ・̥ )
2020年10月22日 22時15分
みそ(鳩胸)
ららさん またみっちゃんと笑えるといいのですが…。
2020年10月22日 22時35分