心の経費、カラダの関係2

数ヶ月経ったある日、真美子を一人立ちさせた。しかし、まだミスをする。それにつられるかの様に周りもミスをする。
「木村さん書類揃っていない!」
「あー、この計算項目が違う!やり直し!」月締めという事もあり、修一も課長も苛立っていた。そして、真美子が書類を持ってきた。修一は書類を精査した。
「野田さん、これ間違いばかりだよ。もう一回やり直して」すると課長はどこかに行ってしまった。
「何?主任、偉そうに…」
「いつも月締めの時は苛立ってるけど、ひどいわねぇ」など、ヒソヒソ話が聞こえる。修一は我慢ができなかった。
「ちょっとトイレ行ってきますんで」
会社の屋上。タンクがあり、死角になるところ。修一は上手くいかない時、ここに来て煙草を吸う。すると、カツコツとハイヒールの音が聞こえた。
「あら、修一じゃない。どうしたの?こんな所で」
声をかけてきたのは坂口智美。同期入社で総務課勤務。同じ主任だ。
「ああ、ちょっとな」
「野田さんの事?」
「まあな」智美は煙草を咥えて、火を着けようとする。しかし、火が着かない。修一は火を着けてやる。
「食べちゃえば?」その発言に修一は飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになる。
「食べるってなぁ、おい」
「あら、私の初めてを食べたのは修一よ?それに、野田さん彼氏と別れたばかりじゃないの?」
「そう思うか?」
「総務課勤務ですから。プライベートが充実しなければ、仕事にもハリが出ないわ」
「まあな。彼女いても別れる寸前まで来ている俺はどうなるんだ?」
修一には彼女がいる。しかし、会ってもすぐに帰ってしまう。
「貴方次第。ねぇ、煙草頂戴」智美に煙草を渡す。そして、火を着ける。智美は煙を吸い、ふーっと吐いた。
「辛い煙草吸っているのね。貴方は辛くならないと」
「どういう意味だ?」
「吸ってみて?」智美が咥えた煙草を口にする。
「ねえ、私の唾の味はどう?」色っぽく微笑み、修一に凭れ掛かる。
「…わかんねぇ」
「また、私の事抱いてくれる?心も体も」
「ああ、三日三晩、いや、飽きるまでな」智美は時計をちらりと見た。
「あら、そろそろ行かないと。その意気よ、助平さん。じゃ、行くね」智美は去って行った。