リングの切符7

翌朝。
朝食を摂り、鳥取へ向かった。
日本海沿いを鈍行列車で向かった。雪と海が所々で見える。
鳥取駅で降り、バスで鳥取砂丘へ向かった。2月の鳥取砂丘は一面、雪に被われていた。まわりに、人は居らず、居るのは二人だけだった。そして吹雪いていた。
「うー。寒いー。でも、綺麗ね」
「ああ。雪の砂漠って言う感じだな」
「でも、寒いや」
「じゃあ、こうしようか」
誠一郎は後ろから英美を抱いた。
「あはは。温かくないよぉ」
「すまん」
「いいの。心の温かさは伝わるよ」英美は誠一郎の手を取り、自分の胸に当てた。
「解る?このドキドキ。貴方といると、胸のドキドキが止まらないの」
「い、色んな意味で俺もドキドキしてる。君と寝ている時も、こうして居るときも…」
「うん。伝わっているよ。私、幸せ。知らない人に良くしてもらって、楽しくできるの初めて」
「俺も初めてだ。いつも一人で居ることが多かったから、楽しい旅だよ」
「決めた。貴方の居るホテルに就職する。シフトが違っていても、貴方と居たい」
「わかった。でも、半端な気持ちはやめて欲しい」
「うん。約束する」
誠一郎は英美の前に立ち、再び抱き締めた。
吹雪は一層強さを増した。しかし、その厳しさを乗り越えようと二人は心に誓った。