リングの切符3

朝7時。東京駅。
二人は近くのカフェに入った。軽く食事を済ませて、今日のプランを練った。英美に、乗車券を買ってあげた。
「ホントにいいの?」
「いいよ。仲良くなったお礼さ」
「有り難う!」
「取り敢えずは明日の朝まで風呂は入れない。金沢のホテルは取ってあるけどね。今夜の『能登』で金沢まで一気に駆け抜ける。それまではフリー。服はどこで買う?」
「そうね。適当に新宿、原宿へ行きたいわ」
「了解。俺は浅草、葛飾柴又に行きたい。時間があったら東京タワーも行きたいね」
「いいね。そうしよう」二人はカフェを出た。
新宿、原宿、浅草、亀有を巡ると、夜になった。東京タワーに上り、夜景を楽しんだ。東京駅を経由して、上野へ向かった。
「今度の列車はキツいぞ」
「なんで?寝台じゃないの?」
「座席なんだよ。寝れるかなぁ」
「私、そういうの初めて。ワクワクする」すると、能登が入って来た。
「わー凄い!古いね」
「ボンネットタイプはこいつだけ。レアだよ」
又酒を買い込み、乗り込んだ。
幸い、オフシーズンのせいか、人影もまばらだった。英美を窓側に座らせた。
「じゃあ、乾杯」
「乾杯」
「ホントにウィスキーが好きなのね」
「これくらいは飲めるよ。寝酒だね」
「でも良かった。楽しいよ」
「そう言ってくれると、誘った甲斐があったよ」
「ねぇ、金沢のホテルはツイン?」
「そうだよ」
「寒いよねぇ」
「確かに寒いよ。2月だから雪降ってるし」すると、英美が耳元で囁いた。
「ダブルにしよう?」
「何言ってるんだよ!行きずりの男だぞ?」
「いいの。人肌で温かくしよ?」
「仕方ない。そうしよう」
「やったー!」
英美は嬉しそうに言った。