itomasa7の日記

2014年05月31日 19時49分

【SOUND THEATRE「THANATOS(タナトス)」】感想

●登場人物
  警部(CV.山寺宏一さん)
  ルイ(CV.紫吹淳さん)
  ドクター(CV.石田彰さん)


19世紀初頭を舞台にしたサイコミステリー、
説明すると長いんで箇条書きにしちゃおう。

・ ある朝海辺に座礁した小船(ワンピースのゴーイングメリー号みたいなキャラベル)
  が発見される。

・ 荷物入れの中から女(ルイ)が1人見つかるも記憶喪失に陥っている。

・ 甲板には赤い文字で「アーサー」と書かれていた。

・ この船は乗員6人で一ヶ月の航海予定が提出されていた。

・ 行方不明の5人はきっと亡くなっているものと考えたとして、
  犯人はルイなのか、小船でいったい何があったのか?

・ 警部とルイは12年前、警部がまだ軍隊所属の兵士だった頃の恋人同士だった。
  しかし軍隊の緊急招集により、ルイとのデートの待ち合わせへ行く事ができず、
  そのまま2人の仲は引き裂かれた。

・ 警部は今や妻とその連れ子の3人暮らし。
  しかし、連れ子を前の旦那が引き取りたいと言っていて、
  連れ子もそれを望んでいるという。

・ 警部は心理学に強く警察によく捜査協力しているという
  ドクターの元を訪れる。

・ 最初、ドクターを値踏みしようとたまたま会った知らない人間を装い、
  話しかけるが、心理学に長けたドクターの驚くまでの洞察力に
  すぐに自分の立場から何の目的でドクターに近づいたかまでがバレてしまう。

・ 警部はドクターをバーに誘い、捜査協力を求める。
  ドクター「(12年前の)切り裂きジャック事件の捜査だったら
    政治が絡むやっかいな話になるので1000フランは頂きたい所だ」
  警部「先日新聞に載った幽霊船騒ぎの調査だ」
  ドクター「ならば400フランといった所か」

  ? フランだったかな?

  ※ この時点では「切り裂きジャック」事件自体がこの物語に関るかと想像。

  ※ また、幽霊船騒ぎについて生存者がいた事はマスコミには伏せられている。

・ ドクターは戦争時代胸に砲弾の破片を受け、
  激しい運動や深酒などをすると心臓に激痛が走る為ムリが出来ない。
  その為酒は「捜査協力などがうまくいった際1杯だけ」と決めている。
  (バーでもミルクしか飲まない。)

・ そして共にルイについての心理学/催眠術による調査を始める。

・ ドクターがルイに軽い診断をした所、「とにかくいつも眠い、眠ってばかりいる」との事。

・ 早速ルイを催眠術で眠らせ、小船が出港する1ヶ月前、船に乗る時点の記憶を探る。
  一緒に船に乗っていた者として
  アーサー、その妻サリー、の名をあげる。

・ ここで警部が偶然「漂流」という言葉を発した途端、ルイに異変が。
  混乱し「まさかアーサーまで殺されるなんて!しかも首を斬られて。そして海に捨てられた」
  と叫び声をあげる。急遽、催眠術を解いて今日の調査は終了となる。

・ この時点で小船に乗っていたのは
  ・ ルイ
  ・ アーサー
  ・ アーサーの妻サリー
  ・ そして、アーサーが首を斬られて殺され、
    死んだものは船乗りのルールに従い(腐ってしまうので)海に捨てられた。
  という事が判明する。

・ そして次の催眠術調査で
  小船には更に
  ・ 軍隊経験のある大柄の男アレックス
  ・ アレックスの妻ジェミー
  ・ 元漁師で雑用の為に雇われた老人ビリー
  これで計6人だった事が分かる。

・ ここでアーサーの首を斬って殺せるのは、軍隊経験のある大柄の男
  アレックスしかありえないのでは?と推理される。

  その後催眠術を続けていくと自分の船室にてルイは
  「もうこれ以上開けてはいけない!」などの声を聴いたという。

・ 警部は、マスコミに幽霊船騒ぎの生存者が居た事、
  ルイの写真を大々的に発表する。

・ 気分転換をかねて、ルイを連れ出し
  警部、ドクター、ルイでバーで飲む(ドクターはミルク)。

  ドクターは(記憶を失っているとはいえ)、
  昔の知り合いである2人で少し昔話でもしては?
  と2人を残して帰る。

・ 警部はルイと付き合っていた頃、話すネタに困り
  星座その他の話を良くしていたらしい。

・ ドクターの元に戻ると、ドクターが別件の調査で得ていた資料から、
  「開けてはいけない」の言葉の意味が分かった、との事。

・ 1ヶ月前、ある缶詰業者が缶詰の中身をかさ増し
  (食べ物の代わりに石や草などを入れる)して、
  それを売りつけるという事件があった。

  そしてこの業者が捕まったのが小船の出港の次の日だった。

  つまり、小船は30日の航海に必要な食料を揃えられていなかった、
  それに気づいて船の上で争いが起きたのではないか?
  と推理する。

・ ドクターが、昔起きたある客船の沈没事件では、たった3日で
  助かった者達の間でお互いの血肉を喰らうという
  おぞましい事件が発生している、という例をあげる。

・ 同様に船の食料が足りない事に気づき、そこから
  発狂した乗員による殺人事件が発生したのでは?
  と考える。

・ 深酒した事もありドクターの元に警部も泊まる(ルイはずっとドクターの診療所にいる)。

・ 警部が起きてくる前に行った朝の催眠術調査で

  先の推理で
  アーサーを**のはアレックス

  つまり、アレックスが全員を殺していったのでは?
  と考えていたのが、

  アーサーの次にはアレックスが全身をナイフで
  めった刺しにされて殺された、という事が分かる。

・ アーサーは首を斬られて抵抗する間もなく殺されたらしい。
  警部いわく、これは明らかに軍隊経験などのあるプロの仕業と考えられる。
  
  もし女性や老人がナイフなどで人を殺そうとした場合、
  背後から心臓などを狙ったとしてもその刃は肩甲骨などで
  止まる事が多く、気づいた被害者が向き直って抵抗する為、
  たとえ殺せたとしても被害者の両手にナイフの切り傷などが
  多々できているはず、との事。

・ となると、アレックスの殺され方から考えて、
  アレックス殺しの犯人は老人のビリーなのか?

  しかしでは、アーサーもまたビリーに殺されたのか?

・ マスコミに発表していたルイの写真について、
  知り合いその他からの連絡はまったくない。

  これについてルイは「きっとあたしは天涯孤独の身か何かだったのでしょう」
  とつぶやく。

  警部の知っていた頃のルイは、明るく人生を楽しく生きていたという。
  この12年の間に何があったのか。

・ ドクターはルイにお茶を入れてもらった際、
  「手がとても綺麗ですね」とふともらす。

・ 更に催眠術調査を続けていく中、またもルイに異変が。

  ルイの中の隠された「マルス」を名乗る男(の人格)が意識として現れ、
  「乗員達は幻の7人目に殺されたのだ!」
  「これ以上知ろうとすればきっとルイを苦しませる事になるのでやめろ!」
  との事。

・ 警部は「7人目が存在したのか?」と考えるが、
  ではその7人目はずっとどこにひそんで何を食べ、
  どうやってトイレその他を済ませていたのか、
  実際問題キャラベルの中に6人以外の人間が
  存在する事は不可能では?という方向に落ち着く。

・ 警部いわく「マルス」とは、星座その他では軍神として奉られいる、との事。

・ ルイに「マルス」の事を説明するが、ルイには
  まったく「マルス」が何なのかが分からない。
  
  しかし、自分を守ってくれようとしている?
  と感じる。

・ そして更に催眠術治療を続けると
  ルイは
  ビリーが海に落ちる場面と
  救命ボートを取り合ってジェミーとサリーが争い、
  ジェミーも海に落ちてしまい、サリーが1人
  救命ボートで脱出していく
  という場面を目撃した、との事。

・ そうなるとサリーが犯人だったのか?

  ※ 今の時点でもサリーが見つかっていない事から、
    サリーは結局漂流の末亡くなったものと考えられる。

・ ここでふと、警部はドクターが
  「切り裂きジャックの件なら政治が絡むので1000フラン」と
  言っていたのを思い出し、あんたは切り裂きジャックの件も解決したのか?と訪ねる。

・ 切り裂きジャック事件は、人体解剖の詳細な知識と技術から
  医学に長けた者が関わったのが間違いない、
  そしてその移動には馬車が使われたはず、
  そういった点から貴族階級以上のものの関わりが間違いない、のだが、
  当時疑心暗鬼に陥った国民達は
  「貧民が怪しい」など間違った方向へ世論を誘導してしまい、
  その為解決に至っていないという(疑心暗鬼に踊らされたのだと)。

  現在、この国で怪しい人物は3人いるが・・・

  と言うが、
  警部「どうやら俺の手におえる事件ではなさそうだ、これ以上聞くのはやめておこう」
  と。

・ そして更に催眠術調査を続けていくと、
  再びマルスが現れ
  「ルイは誰も殺していない(マルスとしても)」
  「しかし、これ以上調べればルイは自分の犯した罪に苦しむ事になる」
  「ルイを救う為、このままルイをずっと眠らせる事にする」
  と警告する。

・ ドクターいわく、精神分裂については自分の教わった教授が特に詳しいのだが、
  虐待を受けた子供などがこのままでは精神が崩壊する、という時
  虐待を受けているのは自分ではない誰かだ、として
  別の人格を作る事で自分を守る事がある。
  マルスとは、ルイがそうやって自己防衛の為に作り上げた人格ではないか?
  と考える。

・ そしてバーで警部とドクターの会話で
  ルイが警部と別れてから送った12年はどういうものだったのか?
  などを話していた時、ふと
  先の客船沈没事件の件を思い出し、そして

  ? この部分どうやって辿り着いたのか忘れてしまいましたが
  
  ドクター「7人目はいたのです!疑心暗鬼という7人目の存在が!」
  
  そして「家を出る時ルイはいびきをかいていた、
  つまり眠りが浅い、このままだと目を覚まし大変な事になる!」と
  、2人は家へ駆け戻る。

・ ドクターの家の屋上から今まさにルイが飛び降りようとしていた。
  ドクターは胸の傷のせいで早く走る事ができず、
  警部がなんとか屋上へ辿り着きルイを抱きとめようとする。

  間一髪、ルイの中のマルスの意志が警部の手を握り、
  ルイは落ちずに済む。

・ そしてドクターは謎解きを始める。

・ まず、ルイを催眠術調査している中で、
  乗員達はそれぞれに殺人の疑いを持つが、
  何故かルイだけは一度も疑われていない事。

  そこがまずおかしい。

・ つまり、ルイは疑われる必要のない立場だった、という事。

・ そしてルイが最初に言った
  「まさかアーサーまで殺されるとは」
  について、これまでのルイへの催眠術調査では、
  アーサーが最初に殺されたはずなのに、
  なぜ「アーサーまで」(その前に誰か殺されている?)なのか。

・ 警部と別れた後の12年間ルイがどんな生活を送ってきたのかは不明だが、
  あまり恵まれたものではなかったのだろう、
  そしてそういった生活の中でルイは

  小船が遭難してしまった上で
  缶詰の中身がかさ増しされたものであり
  食料不足が起きる事を知った時、
  そこから次に何が起きるかをいち早く察知した。

  混乱から来る争い、殺し合い。

  それを避ける為、ルイは自分の死を偽装した。

  甲板に大きく赤いペンキでアーサーの名前を書き、
  そしてルイが海に落ちた状況を偽装すれば
  きっとみんなはルイがアーサーと争い、
  海へ落とされたと考えるだろう、と。

  そしてルイは、漂流後小船が海辺に座礁して
  荷物入れの中から発見されるまで、
  ずっとそこに隠れていたのだった。

・ そしてアーサーがルイを**と思ったアレックスは
  アーサーを殺し、
  次に倉庫へやってきたアレックスを見て
  ビリーは自分が殺されると感じ、
  アレックスを殺して海へ捨てる。

  その場面を目撃した女達と争いになりビリーも海へ落ち、
  そして女達は救命ボートの取り合いをして
  ジェミーは海へ落ち、サリーは救命ボートで逃げ出した。

  全てのつじつまがあった、かと思われた。

・ しかし、そもそも2組の夫婦と雑用係はともかく
  ルイは何故この船に乗っていたのだろう?

  警部「雑用係として雇われていたのでは?」
  ドクター「それにしては、サリーやジェミーを奥様、
  アーサーやアレックスを旦那様、などとへりくだった呼び方をしていない」

・ そして、再びマルスが現れる。
  「よく考えるんだ、そもそもアーサーとサリーは夫婦などではない、
  同様にアレックスとジェミーも。
  ルイと彼女らは娼婦としてこの船に乗ったのだと。」
  
・ 12年前ルイと引き裂かれた後、ルイはそんな悲しい境遇で生きてきたのか、
  と涙する警部に
  ドクターは「マルスとはきっとあなたの事だったんですよ」との事。

  12年前のルイと警部のデートできっと星座の話をしたであろうと、
  そして今回の航海で絶望的な状況に陥った時、
  その救い手としてあなたを求め、星座の知識からその名を
  「マルス」と名づけたと。

・ 警部はよく考えると12年前のあの頃、自分は確かに「マルス」のように
  横暴なもの言いをしていたかも知れない、
  自分では自分の事は気づかないものだな、と。

・ クリスマス、バーにて警部とドクター、

  「マルス」の言葉通り眠り続けるルイをドクターは
  自分が世話になった教授の元へ連れて行く、と言い、

  あなたは早くクリスマスプレゼントを買って家に帰った方がいい、
  あなた自身には見えていないがきっと娘さんも
  あなたと一緒に暮らしたがっている、と。

・ そして先に帰る警部。
  バーに残ったドクターは、「ミルクをもう1杯」

  「あ、ミルクにブランデーを少しだけ混ぜて」
  と頼んで ~ Fin ~


いやあ、再演(紫吹淳さん以外は初)らしいのですが、
ほんと良く練られたミステリーでしたわ。

そして、SOUND THEATREは舞台セットにも凝る。

舞台上には、
・ 遭難した船

・ 遭難のイメージを強くあたえる舵

・ 次々に殺されていった乗員(を模した人形)
など、アームチェアディティクティブ
(自分の家、肘掛けイスに座ったまま事件を解決していく探偵)の
ドクターの推理を聞きながら、

舞台上では、遭難し漂流し、そして争いが起こっていく場面が
おどろおどろしい雰囲気と

3人の楽団(本当に色々な楽器を使われていました)によって
表現されている。


いやあ、これは本当に目が離せない(耳が離せない)作品でした。


PS.次回作にはなんとスフィアの豊崎さん、寿さんがWキャスト(交代制)で登場との事。
  今回にしても山寺さん達元々SOUND THEATREを長く演じている声優さんに対して、
  一部女子に熱狂的な人気のある石田彰さんを配したおかげで
  女子比率高い高い。
  2日昼夜公演抽選でなんとかチケット1枚だけ取れたけど、
  この調子で人気声優頼みになっていくと、(多分)
  ・ チケット取れない
  ・ 声優ファンばかりになって、朗読劇SOUND THEATRE自体を楽しみにしている
    人たちが来れなくなってしまう
  それが悲しいかな(´・ω・`)

  今作、前半/後半構成で途中に休憩があったんだけど、隣の完全アニオタ声オタ女子達が
  オタトークの合間に、パンフレット見だして
  「エンディング書いてあるー」とか話しだした時は
  「頼むからネタバレよせ、マナーまもれ」と
  オタ人種のマナーのなさにショックを隠せませんでした。
  なんとか思いとどまってくれたようで最後まで楽しめたけど。

  自分もオタながら演劇/朗読劇を楽しむ為の最低限のマナーは
  考えて来てほしいな、と思います( ´ー`)